所恵美
へえ、おっきい。
田中琴葉
そうね。こんなに近くで見たこと無かったから。
水瀬伊織
そうでしょうとも。私もこんな近くに他の人連れてきた事なんてないもの。
所恵美
持つべきものは伊織お嬢様だ。ね、琴葉。
田中琴葉
……。
所恵美
琴葉?
田中琴葉
あ、ごめんなさい。ちょっと考え事してて。
水瀬伊織
……どうせ、あの子のことでも考えてたんでしょ。
田中琴葉
うん、もしエレナがいたら、とっても喜んだろうなって。
所恵美
琴葉。せっかく落ち込んでる私たちを和ませようと見せてくれたのに。
水瀬伊織
いや和ませようとはしてないわよ。どっちかって言うと励まそうと……
水瀬伊織
別に、私が自慢したかっただけだけど。
所恵美
もう、素直じゃないなあ。
田中琴葉
でも、エレナがお休みしてる今、これを着られるのは誰もいない。誰もサンバを踊れない。
田中琴葉
もし今サンバを踊らなければならない状況になったら、この街は……
水瀬伊織
考えすぎよ。そんな事今気にしたってしょうがないし、それに……
水瀬伊織
何に遠慮してるか分からないけど、着たい人が着ればいいんじゃない?
田中琴葉
そ、そんな。私はアーラなんて柄じゃないし。
所恵美
ああもう。琴葉が恥ずかしがっちゃったじゃん。無理やりは良くないよ。
水瀬伊織
あら、私は別に琴葉に言ったわけじゃないけど。
田中琴葉
……。
所恵美
あ、やられたね。琴葉。
水瀬伊織
まあ、さっきも言ったけど。変な遠慮する必要ないってこと。あなたたちならわかるでしょ。
田中琴葉
……でも。ビーッ ビーッ
所恵美
な、何この音。
水瀬伊織
乙種反応! なんで! インターバルが短すぎる!
所恵美
見て二人とも! 海からくるよ!
水瀬伊織
あれは、エレナをダウンさせたやつ! 二人とも逃げて!
田中琴葉
逃げてって、それじゃあ伊織ちゃんは……!
水瀬伊織
ここは私の家よ、あなた達は関係ないでしょ。多分あいつは衣装を狙ってる。
所恵美
琴葉、ここは言うことを聞こう!
田中琴葉
ちょっと、引っ張らないで!
所恵美
はあ、はあ。ここまでは追ってこないでしょ。
田中琴葉
ごめん、私戻らないと。
所恵美
琴葉? どうして? 今戻っても何もできないよ?
田中琴葉
恵美、私のためを思って言ってくれてるんだよね。ありがとう。でもね。
田中琴葉
もう、自分に嘘をつくのはいやなの。
所恵美
琴葉! 行っちゃった……。もうなんでエレナも琴葉も言うこと聞いてくれないのかな。
所恵美
サンバを踊るんなら、私達は阻止しなきゃなんない。
所恵美
私は、好きで友達を傷つけてるんじゃないんだよ。
水瀬伊織
もう、まるで歯が立たないじゃない。伊織ちゃんでも勝てないなんて……。
水瀬伊織
まあ、でも……時間稼ぎにはなったかな。二人とも、どうか無事で……。
水瀬伊織
……。
水瀬伊織
ちょっと! トドメさすなら一思いにしなさいよ! 趣味悪いわね……ってあれ。
田中琴葉
良かった! 間に合った!
水瀬伊織
琴葉、その衣装!
田中琴葉
もう、悩むのは嫌だったから。友達が傷つくのを、見てるだけは嫌だから。
水瀬伊織
ふん、じゃあ好きにしなさい。そのかわり、負けないでよね。
田中琴葉
誰も傷つけさせない。それが私の、私だけのサンバ……それで、良いんだよね。
田中琴葉
誰も傷つけさせない。それが私の、私だけのサンバ……それで、良いんだよね。エレナ!
(台詞数: 50)