秋月律子
こんにちは。
…やってるかしら?
…やってるかしら?
中谷育
あ!律子さん、いらっしゃいませ!
周防桃子
いらっしゃいませ!こちらの席へどうぞ!
秋月律子
注文は、いつもので。
中谷育
はい!コーヒーとカップケーキですね?少しお待ちください!
周防桃子
お待たせしました。バリスタ桃子の、いれたてインスタントコーヒーです。
中谷育
お待たせしました。パティシエ育の、カップケーキです。
秋月律子
ありがと。
では…いただきます。
では…いただきます。
秋月律子
…ふう。インスタントでも丁寧に淹れてあるから、ちょうどいい濃さで飲みやすいわね。
秋月律子
このカップケーキも、程よい甘さで、優しい味…。
秋月律子
…はあ。癒されるわ…。
周防桃子
…で、律子さん。今日は何があったの?
秋月律子
えっ?
中谷育
律子さんがここに来るのって、何かなやみがあるときだもん。
中谷育
わたしたちでよかったら、話してみて。きっと、心が少しラクになると思うよ。
秋月律子
やだ…。私、よっぽど顔に出ていたのね。
秋月律子
…ねえ。私って、厳しすぎるのかしら?
中谷育
きびしい…?律子さんって、やさしいと思うけど…。
周防桃子
まあ、普通じゃない?他の人がゆるいだけで、特別厳しすぎるってことはないと思うよ。
秋月律子
そう?だったらいいんだけど…。
中谷育
だれかにきびしすぎるって言われたの?
秋月律子
ほら、この前、何人か強制居残りで、勉強会をやらせたでしょ?
秋月律子
それで…ね。今日その子達が私を見て、ビクッとしたのよ。
…怖がられちゃったかなって。
…怖がられちゃったかなって。
周防桃子
でも、あれは自業自得だよ。夏休みも終わるっていうのに、宿題を全然やってなかったんでしょ?
秋月律子
まあ、私もそう思ったから、無理矢理にでもやらせたんだけど…。
秋月律子
そういえば、あなた達はその手の心配は要らないようね。学校の成績もいいみたいだし。
中谷育
おかあさんに、勉強はいろんな可能性を広げてくれるから、しっかりやりなさいって言われてるの。
周防桃子
いまどきかわいいだけのアイドルなんて流行らないよ。学校の勉強くらい、きちんとやらないとね。
秋月律子
本当、この子達はしっかりしてるわ…。
中谷育
…ううん。わたしたちなんかより、律子さんのほうが、ずっとしっかりしているよ。
周防桃子
桃子達だったら、きらわれ役になってまで、他の人の面倒なんて見ようとしないもの。
中谷育
それにね、律子さんみたいにたよりになる人がいるから、わたしたちだってがんばれるんだよ。
周防桃子
うん。桃子達もそうだし、お兄ちゃんだって、律子さんには何度も助けられてるよね。
秋月律子
…ふふっ。やだ、もう…。
秋月律子
そんな優しいこと言わないで。ダメだってわかってるのに…私、あの子達と比べちゃうじゃない…。
周防桃子
普通は比べるよ。でも、比べちゃいけないって言えるのが、律子さんのやさしいところだと思うな。
中谷育
うん。怒られた人たちだって、律子さんのこと本当はやさしい人だって知ってるはずだよ?
周防桃子
そうそう。怖がってるんじゃなくて、ちょっとバツが悪いだけ。
秋月律子
あなた達…。
秋月律子
ありがとね。お話聞いてもらって、少し元気出たわ。
中谷育
よかった!
周防桃子
さあ、まだ食べてる途中でしょ?コーヒーが冷めちゃうから、お話はここまで!
秋月律子
そうね。せっかく作ってもらったんだもの。しっかり味わって食べないとね。
秋月律子
…あら。このカップケーキ、ちょっとしょっぱいわね?
秋月律子
お砂糖とお塩、間違えたのかしら?ふふっ…可愛いわね。
中谷育
(ねえ、桃子ちゃん。律子さん、涙と鼻水まみれのケーキ、おいしそうに食べてるんだけど。)
周防桃子
(いいんだよ、育。大人には、そういう時もあるから。今はそっとしておいてあげて。)
中谷育
(それに、おしゃれなカフェのつもりだったのに…まるで「いざかや」みたいになってるよ。)
周防桃子
(それは…言わないで。桃子も気にしてるんだから。)
秋月律子
ああ~!心に染みわたるわ~!
(台詞数: 50)
おぼろ丸
2019-09-28 20:14