ﾌﾟﾛﾃﾞｭｰｻｰ
時は戦国、ここ巌流島で二人のサムライが決闘に相まみえるのであった
伊吹翼
ちょっと遅刻しちゃったけど、待っててくれるよね
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この者、名を伊吹翼、又の名を”令和の宮本武蔵”と言う
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好きな食べ物はビーフステーキ。座右の銘は”寿司は美味い”
篠宮可憐
寒い。でも、私にはこれがあるから…
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時を同じくしてこの者、名を篠宮可憐、近所の町娘で付いたあだ名は”備長炭の篠宮”。
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好きな香りは炭焼の香り。座右の銘は”寝る瞬間は記憶がない”
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手に持っているものはああ見えて木炭である。実に変わった木炭である
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篠宮は、木炭は持っているだけで、暖かさがあると思いこんでいるのである
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双方が睨み合う中、伊吹が口火を切る
伊吹翼
小次郎さんとの約束のつもりだったのに、あなたいったい誰なんですか?
篠宮可憐
……?
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キョトン顔の篠宮可憐。それもそのはず、篠宮は詳しいことは知らないで来た代理の一般人
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そして彼女は伊吹が呼びつけた佐々木小次郎とは全くもって赤の他人
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それはさておき、伊吹の怒りはふつふつと沸き上がる
伊吹翼
コージーには大事な話があるって言ったのに、どうして居ないの!?
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言っていない
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伊吹が佐々木を呼びつけた文面はこうである
伊吹翼
一週間後も私のことが好きなら出会ったあの場所で待っていますね!
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これを矢文で貰った佐々木は、鼻先三寸で避けたもんで、当然考えるのは果たし状の可能性
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いったいなぜ、ここまで佐々木との約束を気にするのか
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何を隠そうこの伊吹、出会ったファミレスで佐々木に惚れ込んでいた。伊吹曰く、
伊吹翼
コーヒーをすする指がとてもセクシーだった
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実に哀れである
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呼びつけた佐々木を改めてデートに誘う算段だったようだ
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デートの先はお台場で、くだらない和製映画を見たあとはヴィーナスフォートでショッピング
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挙げ句、噴水前でフラッシュモブのダンスとともに、愛の告白を予定している大うつけである
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ところがどっこい、席に居たのはこの篠宮
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気合を入れたおめかしも新たに買ったスカートも、マニキュアペディキュア1時間
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すべての苦労が水の泡
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頭につけたリボンのカチューシャは、さながら浮かれポンチの八分咲
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ところ変わって、この篠宮可憐。いったいぜんたい、なぜここに?遡ること少し前
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近所の寺での修行中、いつもの如く滝行、滝行。彼女は修行中の身分であった
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ちなみに彼女は生まれ持っての多汗症。濡れているのではなく汗をかいてるだけである
篠宮可憐
炭を持っていれば汗はすぐに収まるってお婆ちゃんが言っていました
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嘘を教える、ろくでもない婆さんである
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お寺の前を打ち水する際、彼女はうっかり通りすがりの佐々木にかけたのである
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よりにもよって、その日の篠宮は機嫌が良くて、テンション任せにコーラで打ち水をしていた
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タイミング悪く、佐々木はその時、伊吹の待ち合わせに向かうところだったのだ
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これじゃあ行けねえ、喚く佐々木に篠宮はひたすら頭を下げるばかり
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しょうがねえから代わりに行って断ってきてくれ、佐々木はそう篠宮に代理を頼む
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住所の書かれた紙を渡され、向かった先はサイゼリヤ
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そう、こここそが現代においての巌流島である
ﾌﾟﾛﾃﾞｭｰｻｰ
何がなんだか分からんままに、誰かを待つこと数十時間
ﾌﾟﾛﾃﾞｭｰｻｰ
持て余す時間で爪の繊維を数える中でようやく伊吹が現れたのである
篠宮可憐
あの…実は私、佐々木?さんの代理で来て、断ってって言われてて
ﾌﾟﾛﾃﾞｭｰｻｰ
たどたどしい説明をする篠宮の、衣服はすっかりスケルトン
伊吹翼
そっか…残念。じゃあ篠宮さん?このあと暇なら一緒に遊びにいかない?
篠宮可憐
私でいいなら構わないけど…
ﾌﾟﾛﾃﾞｭｰｻｰ
このあと待ち受けるフラッシュモブに汗だくになることを彼女はまだ知らないのであった…
(台詞数: 50)