北沢志保
杏奈。貴女少しは本を読んだほうがいいんじゃない?
望月杏奈
間に合ってる……。
北沢志保
……国語のテス
望月杏奈
ぷいっ。
北沢志保
大丈夫よ。杏奈でも絶対に読める本だから。ほら。
望月杏奈
絵本……?
北沢志保
これくらいの文章量なら貴女でも読めるでしょ?
望月杏奈
杏奈を……舐めてる……?
七尾百合子
杏奈ちゃん!オススメの推理小説があるんだけど!
望月杏奈
読む……♪
北沢志保
杏奈って百合子さんの時だけ明らかに態度変わるわよね。
望月杏奈
志保も……そうでしょ……?
北沢志保
私はそこまで可奈に甘くないわよ。
七尾百合子
誰も可奈ちゃんって言ってないような……?
北沢志保
……ふんっ。
望月杏奈
それで……どんなの……?
七尾百合子
あっ、えっとね!これ、とっても読みやすくて杏奈ちゃんもすぐ読めると思うよ!
望月杏奈
(パラッ)ふんふん……密室殺人……。
七尾百合子
そう!そこで現れる探偵が真犯人を突き止めるまでの推理が……
望月杏奈
(犯人誰だろ……)
七尾百合子
杏奈ちゃんストーップ!
望月杏奈
!?
七尾百合子
今ページ進めて犯人だけ知ろうとしたでしょ!それは推理小説で一番やっちゃいけない事なんだよ!
七尾百合子
こういうのは犯人を突き止めるまでの過程を楽しむものなんだから!
望月杏奈
でも……この本について……早く……百合子さんと……お話、したくて……。
七尾百合子
杏奈ちゃん……。
七尾百合子
じゃあ尚更ちゃんと読んで欲しいな。犯人分かったくらいじゃ私の話にはついていけないよ?
望月杏奈
そう、だよね……。うん……家でちゃんと……全部読む、ね……。
七尾百合子
うん!じっくり読んで、杏奈ちゃんの感想聞かせて欲しいな!
七尾百合子
ところで志保、その絵本は?
北沢志保
これは可奈に貸そうと思って。あの子が好きそうな話だったから……。
七尾百合子
志保も可奈ちゃんに絵本を布教してるんだね!
望月杏奈
ふーん……。
北沢志保
何よそのムカつくにやけ顔は。
望月杏奈
1冊……借りるね……。
北沢志保
ちょっと。
望月杏奈
百合子さん……読んで……。
七尾百合子
えっ、私!?
望月杏奈
百合子さんの……読み聞かせで……。
北沢志保
百合子さんの読み聞かせ……それは興味あるかも。
七尾百合子
志保まで!?私読み聞かせってほとんどしたことないよ!?
望月杏奈
じーっ……。
北沢志保
……。
七尾百合子
2人ともすでに観客モード!?ううっ……じゃ、じゃあ、七尾百合子、いきます!
望月杏奈
わ〜……(パチパチ)
北沢志保
……。(パチパチ)
七尾百合子
「むかしむかし、あるところに…」
(台詞数: 47)