馬場このみ
ん~……日曜日にオフが取れるなんていつ以来かしら。
馬場このみ
せっかく時間があるんだし、DVDでも借りに行こうかしら。観たいドラマもあるしね。
馬場このみ
……って、あら?あそこにいるのは……。
中谷育
……ぐすん。
馬場このみ
やっぱり育ちゃんだったわね。どうしたの?
中谷育
あっ、このみさん……。
中谷育
うぅん、なんでもないの……。
馬場このみ
そんな悲しそうな顔して、何でもないわけないでしょ?
中谷育
何でもないったら!いいからほっておいて!
馬場このみ
ほっとけないわ。育ちゃんは大事な劇場の仲間なんだもの。
馬場このみ
だから、何かあったなら話して。ちゃんと私が育ちゃんの話を聞くから。
中谷育
ぐすっ……うん。ごめんね、このみさん。
中谷育
わたし、おかあさんと…けんかしちゃったの。
中谷育
おかあさん、お仕事が大変そうだったからわたし、手伝ってあげようと思ったんだ。
中谷育
そうしたら、「別に大丈夫」っておかあさんが言ったの。
中谷育
わたし、子どもあつかいされたのかと思って、ちょっとキツく言い返しちゃった。
中谷育
それで、大げんかになって…家を飛び出してここにいるの。
馬場このみ
そう…そんな事があったのね。
中谷育
うん……。
中谷育
あのね、このみさん。ちょっと、聞いてもらっても良い?
馬場このみ
ん、なあに?
中谷育
わたし、おかあさんとこんなに大げんかしたの、初めてだったんだ。
中谷育
今までこんなこと無かったのに、気持ちがおさえられなくなって……。
中谷育
わたし、一体どうしちゃったんだろう……。
馬場このみ
なるほどねぇ……。育ちゃんももう、そんな御年頃か。
中谷育
このみさん?
馬場このみ
えっとね。育ちゃんは、大人になろうとしているのよ。
中谷育
えっ?大人に?
馬場このみ
そう。身体だけじゃなくて心も大人になろうとしているのよ。
馬場このみ
私も、育ちゃんぐらいの頃には、意味も無く両親に反抗してみたものだわ。
馬場このみ
自分の思い通りにならなくて、なんかイライラしちゃってね。
中谷育
あ、わたしも言われてみればそんな感じだったかも。
馬場このみ
そうして、冷静になってから頭を下げて。それで仲直り。
馬場このみ
それを繰り返して、子どもは大人になっていくのよ。
中谷育
そうなんだ……。
馬場このみ
育ちゃんは、別にお母さんのことを嫌いになったわけじゃないのよね?
中谷育
うん。ちょっと、言い過ぎたかなって思ってるよ。
馬場このみ
それなら、ちゃんと謝ればきっと大丈夫。育ちゃんならきっとできるわ。
中谷育
……わかった。ありがとう、このみさん!
馬場このみ
あ、そうそう。育ちゃん、もう一つだけ良いかしら。
中谷育
え?なになに?
馬場このみ
親っていうのは、なんだかんだで子どものことをずっと気に掛けてるものなの。
馬場このみ
きっと育ちゃん、どこに行くか言わずに飛び出して来たんでしょ?
中谷育
あ……。
馬場このみ
育ちゃんのこと、すごく心配してると思うわ。これからは、どこに行くかを必ず伝えてね。
中谷育
うん、わかった。それじゃあね、このみさん!
馬場このみ
じゃあね、育ちゃん。また劇場でね!
馬場このみ
……。
馬場このみ
それにしても、あの育ちゃんも反抗期かぁ……。
馬場このみ
本当に大人になっていくのねぇ……。
(台詞数: 50)