二階堂千鶴
…環。
大神環
あっ…。ちづる…。
二階堂千鶴
元気がありませんわね。プロデューサーも、心配していましたわよ。
大神環
おやぶんが…?うぅ…。
二階堂千鶴
環が自分を避けているみたいですって。あの人から何か嫌なことでも言われましたの?
大神環
ううん…。おやぶんは悪くないの。たまきが変なだけで…。
二階堂千鶴
変、ですか…。もしよかったら、詳しく聞かせてくれませんこと?
二階堂千鶴
女同士ですもの。プロデューサーには話しにくいことでも、わたくしになら話せるのではなくて?
大神環
…うん。
あのね…。
あのね…。
大神環
たまき、おやぶんの顔を見ると胸がきゅーってなるの。
大神環
おやぶんと遊びたいのに、いけないことのように感じちゃって、遊ぼうって言えないし…。
大神環
どうしてって思っても、胸がもやもやして、どうしたらいいかわからないの…。
大神環
お母さんにも聞いたんだけど、自然なことだから、それでいいって…。
二階堂千鶴
成程、そうでしたか…。
二階堂千鶴
…環。それは、「思春期」というものですわ。
大神環
ししゅんき…?
二階堂千鶴
簡単に言えば、人が子供から大人に変わっていく時期のことですの。体だけではなく心も、ね。
大神環
心が変わっちゃうの…!?
大神環
それじゃあ、好きなことがキライになって、好きな人のこともキライになって…。
大神環
たまきは、たまきじゃなくなっちゃうの…!?
大神環
そんなのやだ…!こわいよ…!
二階堂千鶴
ええ。怖くて不安ですわよね…。その気持ち、よく解りますわ。わたくしも、同じでしたもの。
二階堂千鶴
…ねえ、環。あなたには、特別にわたくしの秘密を教えてあげますわね。
大神環
ひみつ…?
二階堂千鶴
実は、わたくしは子供の頃は環に負けないくらい、とってもお転婆な女の子でしたのよ。
大神環
…そうなの?
二階堂千鶴
ええ。男の子とプロレスごっこをしては、相手を泣かしてしまうこともしょっちゅうでしたわ。
大神環
うわぁ…!すごいね!まるでのりこみたい!
二階堂千鶴
ふふっ、そうですわね。何かが少し違っていたら、わたくしものり子のようになっていたかも。
二階堂千鶴
今のようにオシャレで素敵な女性になるなんて、当時のわたくしには想像もつきませんでしたわ。
二階堂千鶴
環も、わたくしのように変わるかもしれませんし、ほとんど変わらないかもしれません。
二階堂千鶴
そればっかりは、環自身にも、わたくしにも、環のお母様でもわかりませんわ。
大神環
そう…なんだ…。
二階堂千鶴
でもね、環。変わるということは、悪い事ではないと、わたくしは思いますの。
二階堂千鶴
…わたくしものり子も、いいえ、この劇場のお姉さん達も、みんな環と同じでしたのよ。
二階堂千鶴
変わっていく中で、それぞれが素敵なところ…その人の魅力を花咲かせてきましたの。
二階堂千鶴
ですから、どんな形であれ、きっと環も素敵に変わることができますわ。
大神環
……。
二階堂千鶴
今は変わることを怖がらずに、ただ思うままに過ごしてみなさい。
二階堂千鶴
プロデューサーと遊びたかったら、たくさん遊んでもらえばいいと思いますわ。
二階堂千鶴
でも、もし恥ずかしいなら、無理をしないで間を空けてみるのもいいかもしれませんわね。
二階堂千鶴
大事なのは、自分を嫌いにならないこと。そして、変わっていく自分を好きになることですわ。
二階堂千鶴
…大丈夫。環が変わっても、わたくし達は環をまた好きになりますわよ。
二階堂千鶴
プロデューサーも、わたくし達も、環を見ていますから。しっかりと、ね。
大神環
うん…。
大神環
あのね、本当のこと言うと、たまきは言ってることの半分くらいしかわからなかったけど…。
大神環
でも、たまきはだいじょうぶだって、それはわかったよ!
大神環
ありがと!
ちづる…お姉ちゃん!
ちづる…お姉ちゃん!
二階堂千鶴
あら、わたくしのことを、お姉ちゃんと呼んでくださるの?
二階堂千鶴
ふふっ…。わたくしも。元気になってくれて嬉しいですわ。
ね、環ちゃん。
ね、環ちゃん。
(台詞数: 50)