二階堂千鶴
そういえば、このみさんも莉緒さんも地方出身でしたよね?
馬場このみ
そうね。私が山口で、莉緒ちゃんが広島ね。
二階堂千鶴
学生時代も地元で過ごされたのでしょう?
二階堂千鶴
お二人の学生時代について、あまり伺う機会がなかったので、この際聞いてみたいですわ。
百瀬莉緒
え?私たちの話なんて、あんまり面白くないわよ?
馬場このみ
私も聞いてみたいわね!莉緒ちゃんの思春期!
百瀬莉緒
姉さんまで!?本当につまらない話よ?
二階堂千鶴
莉緒さんのことですから、学校でも人気があったのでしょうね。
百瀬莉緒
人気なんて別にないわよ。むしろ、あんまり学校は好きじゃなかったわね。
馬場このみ
意外ね。友達とか先生と仲良くやってるイメージだったけど。
百瀬莉緒
友達とは上手くやっていたわ。今でもSNSでやり取りしてるから。
百瀬莉緒
先生とは折り合いが悪くてね。よく反発してたわ。
百瀬莉緒
二言目には「百瀬のためを思って」だもの。本当にウザくて!
百瀬莉緒
初潮も経験してないオッサンに、思春期の乙女の気持ちがわかるかっての!
馬場このみ
随分な言われようね。Pの前で言っちゃダメよ?
二階堂千鶴
しかし、それも本当に莉緒さんのことを思っての言動だと思いますわ。
百瀬莉緒
今ならその気持ちがわかるわよ?ありがたいなって。
百瀬莉緒
でもね、今でも大人って卑怯だなって思うのよ。
馬場このみ
卑怯?
百瀬莉緒
「大人になればわかる」とか「いずれわかる」とか、子供のときに答えを示さずにさ。
百瀬莉緒
今更になってありがたいと思わせるとか!子供を弄んでいるのよ、あの教師は!
二階堂千鶴
まあまあ。そういう卑怯な大人がいたからこそ、今の莉緒さんがいるのですから。
馬場このみ
そうそう。それに、その先生の話をしている時の莉緒ちゃん、楽しそうだったわよ?
百瀬莉緒
そ、そんなつもりは……。
二階堂千鶴
今度はこのみさんのお話も聞きたいですわ。
百瀬莉緒
聞きたい聞きたい!姉さんが去年まで通っていた小学校の話!
馬場このみ
誰が中学一年生女児だ!!
百瀬莉緒
(その後の帰り道……。)
百瀬莉緒
ふう……。二人の会話のせいで、久しぶりに地元の友達に会いたくなっちゃった。
百瀬莉緒
今度の連休、広島に帰ろうかな。ちょっと友達に連絡しよ。
百瀬莉緒
(プルルル……。プルルル……。)
百瀬莉緒
もしもし、久しぶり。莉緒よ。
百瀬莉緒
今、何しよん?……あ、ご飯食べとったの?ごめんね。
百瀬莉緒
あのね、今度の連休、広島に帰ろうかなって思うとってな。
百瀬莉緒
顔合わせるのも久しぶりじゃけぇ、一緒に飲みに行こうや。
百瀬莉緒
え?高校の時の担任?あのぶち喧しかったオッサンじゃろ?
百瀬莉緒
あの人とも久々に会いたいかも!ねぇ、高校にも顔出そうよ!
百瀬莉緒
…………え?あの人、事故で亡くなった?
百瀬莉緒
そんな……。初耳やけん、葬式にも行けんかった……。
百瀬莉緒
うん……。お墓参りは行こうね……。じゃあね。
百瀬莉緒
…………。
百瀬莉緒
大人ってやっぱり卑怯だ。
百瀬莉緒
子供にはわからないことを投げ掛けておいて……。
百瀬莉緒
そしていざ答えを知ったところで……。
百瀬莉緒
「ありがとう」の一言すらかけさせずに逝ってしまうのだから……。
(台詞数: 45)