田中琴葉
『好きです。私と付き合ってください。』
田中琴葉
『…………。』
田中琴葉
覚悟を決めた告白は、物の見事に砕け散った。
田中琴葉
『琴葉をそういう風に見れない』とあの人は言った。
田中琴葉
『俺はプロデューサーで、琴葉はアイドルだから』と。
田中琴葉
あれから数日経ったけれど、今でもあの日のことを思い出す。
田中琴葉
私の何が駄目だったのだろう?
田中琴葉
どうすれば、田中琴葉はあの人の1番になれたのだろう?
田中琴葉
どうすれば、『琴葉じゃなきゃ駄目だ』って言ってくれたんだろう?
田中琴葉
そんな、どうしようもないことばかり考えてしまう。
田中琴葉
私に、美奈子ちゃんくらいの献身があれば、好きになってくれたのかな?
田中琴葉
あるいは海美ちゃんのような元気か、エレナのような明るさか、恵美のような思いやりか……。
田中琴葉
あの人は……私のことが嫌いなのかな……?
田中琴葉
……ううん、違う。そうじゃない。プロデューサーは、そんな人じゃない。
田中琴葉
私のことを思って、プロデューサーという立場から、告白を断ったの。私が嫌いだからじゃない。
田中琴葉
だから私も、この気持ちを決別しよう。全て忘れて、また明日から頑張ろう。
田中琴葉
プロデューサーへの恋から……卒業しなきゃ。
田中琴葉
…………。
田中琴葉
…………。
田中琴葉
「それで、どうしたか……ですか?」
田中琴葉
「見ての通りですよ。諦めなかったんです。」
田中琴葉
「私、好きな人を簡単に諦めるほど、弱くないんです。」
田中琴葉
「……すぐに気持ちを切り替えられるほど、強くないんです。」
田中琴葉
「だから、諦めがつくまで頑張ることにしたんです。」
田中琴葉
「大変でしたが、楽しかったですよ?プロデューサーがどんな人が好きかを調べるのは。」
田中琴葉
「好きな異性のタイプとか、好きな服とか、好きな髪型とかを調べて……」
田中琴葉
「ようやく、あなたの理想の彼女になれました。」
田中琴葉
「……はい。私も、今すごく幸せです。」
田中琴葉
「どうですか?これまでの彼女と比べて、私って可愛いですか?」
田中琴葉
「……ふふっ。冗談です。これまでの交際経験も調査済みですから。」
田中琴葉
「卒業おめでとうございます、プロデューサー♪」
(台詞数: 31)