永吉昴
街が、燃えている。
永吉昴
隣りの国が攻めてきたらしい。
永吉昴
日本がこんな風にバラバラになっちまったのって、いつからだっけ。
永吉昴
オレは燃える街を前に、呆然と立ち尽くす。
永吉昴
ふと、右手の重量感に気が付く。
永吉昴
視線を落として右手を見ると
永吉昴
ロコから貰った変な黒い機械を握っていた。
ロコ
『スバルなら、近いうちにユーズできるようになるかもしれません!』
ロコ
『だからスバルが持っていてください!』
永吉昴
オレに何ができるんだろう。
永吉昴
今、燃える街を目の前にしても、何もできないでいるオレに…。
永吉昴
「ロコ、お前がやるべきだったんだよ…。」
永吉昴
「オレじゃダメなんだ…!なのに…!」
永吉昴
「なんでオレなんかの為に…!」
永吉昴
悲鳴が聞こえて、オレはハッとして顔を上げる。
永吉昴
目の前を、少年と幼い少女の兄妹が逃げ惑っていた。
ロコ
『スバルは…とってもカインドフルですから!』
ロコ
『だから、そのロコアートをきっと使いこなせると思うの!』
永吉昴
『バカ言うなよ。オレは自分のことしか考えてないぜ?』
永吉昴
『ロコみたいに戦えるわけねえよ。』
ロコ
『ノットです!』
永吉昴
『!!』
ロコ
『スバルはロコと同じです。』
ロコ
『ロコと同じ、人のスマイルの為に戦える、正義のヒーローです!』
永吉昴
「ロコ…。」
永吉昴
幼い妹を、兄であろう少年が必死に守ろうとしている。
永吉昴
オレは…。
永吉昴
「……!!」
永吉昴
オレは右手に持ってた黒い機械を腰にかざす。
永吉昴
すると、機械からベルトが伸長して、オレの腰に固定された。
永吉昴
「やってやる!だから…力を貸してくれよな!ロコ!」
永吉昴
オレは左手に持っていたペンライトみたいな棒のスイッチを押す。
永吉昴
使い方はロコに聞いたし、あいつが使ってたのを見てたからわかる。
ロコ
『それはスバル用なので、ロコのとはちょっとだけ違うんですよ。』
永吉昴
スイッチを押したペンライトが、灰がかった黄緑色に発光する。
永吉昴
「確かロコのは黄色だったよな…。オレ用ってこういうことか?」
永吉昴
オレは迷わずそのペンライトを腰の機械に装填した。
永吉昴
瞬間、オレの体は光に包まれて、その光が消えた時…オレは…
永吉昴
青い装甲に包まれた、変なスーツを装着していた!
永吉昴
生身なら絶対こんな重そうなの着て歩けないけど、今のオレなら動ける!
永吉昴
「うおぉぉーーーーッ!」
永吉昴
オレは兄妹を襲った爆炎を受け止め、振り払った。
永吉昴
兄妹には目立った怪我はないようだった。オレはホッと胸を撫で下ろす。
永吉昴
兄妹は突然現れたオレに驚いているようで、オレの後ろで固まっている。
永吉昴
「逃げろ!」
永吉昴
オレが叫ぶと、兄の方がハッとして、妹の手を引いて走り出す。
永吉昴
妹らしき少女が「ありがとー!」と大きな声で言ってくれたのが聞こえた。
永吉昴
「やってやる…!オレは…オレは…!」
永吉昴
オレは遠くからこちらへ向かって来る機械の兵隊を見据える。
永吉昴
「今のオレは…負ける気がしねえ!」
(台詞数: 50)