プロデューサー
歌織『美奈子ちゃん、湯加減はどう?』
佐竹美奈子
とってもいい感じですよー!
ジュリア
そ、そうか…?かなり熱い気がするけど…
プロデューサー
歌織『うーん、どっちが正しいのかしら…熱っ!』
ジュリア
ほらやっぱり…こんな湯に全身浸かったら火傷するっての!
佐竹美奈子
うーん、実家で熱い物には慣れてるから温度感覚が狂っちゃったかなぁ…
ジュリア
いや、中華料理屋の手伝いでそんなに熱さに強くなるもんか…?
佐竹美奈子
なるよー!本当はミトンを使う所を布巾一枚で掴むなんてしょっちゅうだしね!
佐竹美奈子
まぁ、そのおかげで手がこんなになっちゃってるんだけどね…
ジュリア
なるほど…全体的に皮が厚いし、ちょいちょい火傷の痕もあるな
佐竹美奈子
そうでしょ?それに力もかなり掛けるから結構ゴツゴツしちやって…
ジュリア
まぁ、手ならアタシも人の事は言えないけどね…ほれ。
佐竹美奈子
あー、タコがいっぱい…そりゃギター弾いてたらそうなるよね。
ジュリア
そういう事…自分でも綺麗な手とは思わないけど、こればっかりは仕方ないさ
プロデューサー
歌織『二人とも…ちょっと手を触らせてもらっていい?』
ジュリア
別に構わないが…見てて面白い物でもないぞ?
佐竹美奈子
そうそう、握手会とかで手がゴツいって思われてないかちょっと心配なくらいで…
プロデューサー
歌織『うん、それでいい…ううん、それがいいの。』
佐竹美奈子
そこまで言うなら…はい。
プロデューサー
歌織『…………』
ジュリア
しかし、カオリは綺麗な手をしてるな…自分の手に不満はないがちと妬けるぜ。
佐竹美奈子
本当、指が長くてシミひとつ無くて…うらやましいなぁ。
プロデューサー
歌織『褒めてくれるのは嬉しいけど…これは何も刻まれてないって事なの。』
佐竹美奈子
何も刻まれてない…?
プロデューサー
歌織『私ね、父の手が好きだったの…沢山のものを守って来た傷だらけの大きな手。』
プロデューサー
歌織『お母さんもそう、父程分かりやすくはないけど沢山の経験を重ねた優しく暖かい手。』
プロデューサー
『私も、歳を重ねたらそんな手の大人になれるって思っていたの…』
プロデューサー
歌織『でも、大きくなっても、大人になってもそうならなかった…』
ジュリア
いや、それは丁寧に手入れしてるからだろ?
プロデューサー
歌織『それもあるけど、それ以上に…私は何も知らなかったの。』
プロデューサー
歌織『私は大人になるまで…大人になってもずっと守られていた…』
プロデューサー
歌織『それはきっと幸せな事…でも、ずっと両親が見定めた安全な物にしか触れてこなかった。』
プロデューサー
歌織『だからね…何も刻まれて無いこの手よりも、二人の手の方がずっと綺麗に見えるわ…』
佐竹美奈子
(ずっと守られて来た事への後ろめたさ、なのかな…)
プロデューサー
歌織『ご、ごめんね…私の方がお姉さんなのに変な事言っちゃって…』
ジュリア
なぁ…一つ聞くがカオリは生まれた時からピアノが完璧に弾けたのか?
プロデューサー
歌織『まさか!小さい頃から沢山練習して…』
ジュリア
じゃあ歌はどうだ?子供たちに音楽を教える方法は?
プロデューサー
歌織『それはもちろん、沢山失敗してできるようになって…あっ』
ジュリア
ほら、カオリの手にも刻まれてるじゃないか…目に見えないだけだ。
ジュリア
守られてたって、用意された物だって、あんたの経験はあんただけの物だろ?
プロデューサー
歌織『私の経験は、何があっても私だけのもの…』
佐竹美奈子
と言うか、そんな綺麗な手をして人の手を羨ましいとか贅沢言い過ぎです!
佐竹美奈子
私が湯加減見る側に回るんで、歌織さんが先に入って下さい、じっくり見ますから!
ジュリア
ははっ、そりゃいいや!あんたに刻まれた物、手だけじゃなくて全身じっくり見せてくれよな!
プロデューサー
歌織『いや、脱げるから、自分で服脱げるから二人ともにじり寄らないで…!』
佐竹美奈子
問答無用!行くよジュリアちゃん!
ジュリア
合点承知!行くぞミナ!
プロデューサー
歌織『いやぁーっ!』
プロデューサー
歌織(これも刻まれた経験になる…のかな?私だけの、私を作る物に…)
(台詞数: 50)