二階堂千鶴
突然夜想令嬢の世界にアレクサンドラとして転生してからもう二年。早いものですわね。
二階堂千鶴
元いた世界の知識を利用してクリス達だけでなくエレオノーラとも和解。さすがわたくしですわ。
二階堂千鶴
とはいえ……元の世界が恋しくないと言ったら嘘になりますわね。お父さんお母さん、それに…
二階堂千鶴
まあ、クヨクヨしてても仕方ありませんわね。前向きに生きていきましょう?おーっほっほ……
二階堂千鶴
ゲホゴホッ…ところで。ここは一体どこですの、わたくしは王都でお買い物をしていたはずですが。
二階堂千鶴
久しぶりだな、二階堂千鶴。
二階堂千鶴
えっ、わたくし!?
ではありませんわね。もしかして…アレクサンドラ?
ではありませんわね。もしかして…アレクサンドラ?
二階堂千鶴
そうだ。お前の様子が気になっていたのだが、どうやら無事に生きているようだな。
二階堂千鶴
あ、あなたがわたくしをこの世界に呼んだんですの?
二階堂千鶴
いや違う。ただ、あの日。ノエルが人を殺すのを見た時。私は初めて、心から祈ったのだ。
二階堂千鶴
祈った?
二階堂千鶴
そう。両親を失い、妹を人ならぬものにされ、挙句の果てがこれかと。
二階堂千鶴
誰か助けてくれ。こんな運命は嫌だ、代わってくれ。ひたすらそう願っていた。そして。
二階堂千鶴
気が付いたら、見知らぬ土地に倒れていたのだ。お前の世界の服を身に着けてな。
二階堂千鶴
そ、それでは……わたくしは、あなたの代わりを務めるためあそこに転生したということですの!?
二階堂千鶴
おそらくな。どういうつもりかは知らんが、神もおかしな真似をしたものだ。
二階堂千鶴
ひ、酷いですわ!そんなのあんまりじゃありませんの。あそこでわたくしがどれだけ苦労したか…
二階堂千鶴
……すまないとは思っている。
二階堂千鶴
それで済むものですか!!毎日泣いて暮らしましたわ、どんなに夢であって欲しいと願ったことか。
二階堂千鶴
右も左も分からない世界で、何の希望もない場所で必死で生きてきた苦労があなたに分かって?
二階堂千鶴
分かるとも。私も同じだった。己の愚かさに絶望したよ、ノエルをまた見捨てたのだからな。
二階堂千鶴
あ……
二階堂千鶴
ノエルは、無事か?
二階堂千鶴
ええ。今はわたくしと、穏やかに過ごしております。鶏や家畜の血で渇きもしのげていますしね。
二階堂千鶴
血を吸った肉を売って生計を立てておりますわ。おかげで今や王都でも人気の肉屋ですのよ?
二階堂千鶴
そ、そうか。
……人を、殺めたりは?
……人を、殺めたりは?
二階堂千鶴
しておりません。そのような真似、わたくしが絶対にさせませんわ。ご安心なさって?
二階堂千鶴
そうか……神はきっと、私を救うためにお前を呼んだのだろうな。
二階堂千鶴
ありがとう。それ以上の言葉が出てこない私を許してくれ、ありがとう……
二階堂千鶴
な、泣かないでくださいな。気にしなくていいんですのよ、わたくしは出来ることをしただけですわ。
二階堂千鶴
ああ。お前が私で、本当に良かった。心より感謝する。
二階堂千鶴
どういたしまして。セレブなら当然のことをしたまでですわ、おーっほっほ…ゲホッ。
二階堂千鶴
ところで。わたくしはあなたの世界にいるということは、あなたはもしかして?
二階堂千鶴
いや。実は、そのこともちょっと相談したいのだがな……
水瀬伊織
いた!やっぱりここね、帰るわよ千鶴。まだレッスン途中でしょう!!
二階堂千鶴
ノ、ノエル……
水瀬伊織
またそう呼ぶ。私は伊織だって言ってるでしょ。ほら、さっさと来る!
二階堂千鶴
え、え?あの、ひょっとしてあなた、わたくしの代わりにアイドルを……?
二階堂千鶴
そうだ。二階堂千鶴、あそこは一体何なのだ、歌だけでなく戦ったり無人島や宇宙に行ったり。
二階堂千鶴
どうと言われましても。そういう世界ですわ、としか言いようがないですわね……
水瀬伊織
あら、千鶴がもう1人。へぇー、この千鶴がアレクサンドラだって話は本当だったのね。
二階堂千鶴
だから何度もそう言っているではないか。ノエル、私には無理だ。マグロどころかそもそも船さえ…
水瀬伊織
泣き言を言わない!百合子達だって行ってるのよ、年上のあんたが頑張らなくてどうするの。
二階堂千鶴
か、勘弁してくれ!助けてくれ二階堂千鶴、このままだと私はマグロ漁船に乗せられて密林に…
二階堂千鶴
え、ええっと。伊織?あのですね、そこにいるのはアレクサンドラで、本当の千鶴はわたくしで……
水瀬伊織
はいはい、そういうのいいから。ほら、帰るわよ千鶴?
二階堂千鶴
ま、待ってくださいな!元の世界に帰れるのなら、わたくしも連れていって!
水瀬伊織
ごめんね、そうしてあげたいのは山々なんだけど、厳密には私もまた別の世界から来ているの。
二階堂千鶴
え?
水瀬伊織
あなたの世界からのお迎えもそのうち来るはずよ。それじゃあね、ノエルによろしく!
二階堂千鶴
た、助けてくれ!嫌だ、冬の雪山に登ったりマグロ漁船に乗ったりするのはもう嫌だ!
二階堂千鶴
あ、ちょっと!別の世界ってどういう………行ってしまいましたわね。
二階堂千鶴
まあ、迎えが来るというのなら信じて待つとしますか。それにしても……
二階堂千鶴
アイドルって、一体何なのかしら?
(台詞数: 54)