
馬場このみ
-こんにちわ!

馬場このみ
耳元を過ぎ去っていった懐かしいような声に、立ち止まる。

馬場このみ
だれ?

馬場このみ
誰もいないはずの帰り道を振り返る。そこにはやはり誰もいない。

馬場このみ
学校の帰り道。いつもは通らない人気の少ない道に、今日は誘われた。

馬場このみ
……ま、いっか。

馬場このみ
なんでこの道を通ってるのかは、分からない。いつもは怖くて通らないのに。

馬場このみ
でもなんだろう。今日は怖くないや。

馬場このみ
お日様が気持ちいい。

馬場このみ
たぶんきっと、その程度の理由かもしれない。

馬場このみ
ふと、池に近付き、自分の顔を覗き見てみる。

馬場このみ
にこー。

馬場このみ
そういえば昔、お母さんから聞いた。私は、よく笑う子だったと。

馬場このみ
にこー。

馬場このみ
おまけに笑ってみせる。可愛いもんだな私。

馬場このみ
-ふふふ

馬場このみ
今の私じゃないよ?

馬場このみ
キョロキョロと周りを見やっても、木と池しかない。

馬場このみ
なんだろう…

馬場このみ
ちょっと怖かったので、しばらく固まっていた。

馬場このみ
……。

馬場このみ
あれ?

馬場このみ
あの方向…たしか…

馬場このみ
と、ふと胸中で呟いたとき。

馬場このみ
……わっぷ!?

馬場このみ
強くてあったかい風が吹いた。

馬場このみ
……っ!?

馬場このみ
ふと佇まいを直す。水面に映る自分の顔を見て、もう一度笑うのだ。

馬場このみ
ふふ。

馬場このみ
そう…風が運んでくれた…

馬場このみ
-大きくなったね

馬場このみ
大好きだった人の声に……応えるように。
(台詞数: 32)