二階堂千鶴
ここは……どこだったかしら。桜が綺麗な場所ですが、わたくしはなぜここにいるのでしょう……?
二階堂千鶴
『あ、いたいた。ふふっ、こんにちは千鶴』
二階堂千鶴
あら?こんにちは……ええっ?あ、あなたは……わたくし、ですか?
二階堂千鶴
『お、さすがにすぐに気付くんだね。そう、私はあなた……二階堂千鶴』
二階堂千鶴
『セレブとして振る舞う事もなく、アイドルにもならなかった二階堂千鶴だよ』
二階堂千鶴
アイドルにならなかった二階堂千鶴って……ど、どういう事?わたくしには何が何だかさっぱり……
二階堂千鶴
『まぁあまり深く考えずに、夢だと思ったらほら、私の事も納得しない?』
二階堂千鶴
ゆ、夢……そうですよね。わたくしがもうひとりいるなんて、夢に決まっていますわ。
二階堂千鶴
『そうそう、あんまり深く考えないで。それで千鶴、私の事を見てどう思う?』
二階堂千鶴
どうってそれは……まず髪型に驚きますわ。だいぶバッサリ切っていますのね。
二階堂千鶴
こんなに短い髪型はいつ以来かしら……?客観的に短い髪の自分を見るのって不思議な気分ですわ。
二階堂千鶴
『やっぱりそこかー。今の私は女子大生だからね、色んな髪型にしたくてまずは切ってみたの』
二階堂千鶴
『友達からはけっこう好評なのよ?若く見えるって。昔から年上に見られがちだもんね私って』
二階堂千鶴
ふふっ、確かにそうでしたわ……あなたの服装もカジュアルだからか、本当に女子大生って感じね。
二階堂千鶴
『そうなのよ。これでやっとみんな敬語じゃなくなったのよねー。お嬢様言葉も使って無いのにね』
二階堂千鶴
お嬢様言葉……その、女子大生のままのわたくしは、つまり、素のままって事なの?
二階堂千鶴
『うん。大学でもお嬢様言葉は使ってないし、実家の事も友達みんなが知ってる』
二階堂千鶴
『普通の女子大生、二階堂千鶴としてキャンパスライフを満喫してるの……どう?羨ましい?千鶴』
二階堂千鶴
……いえ、そんな事はありませんわ。普通の生活も素敵だとは思いますが、アイドルとしての生活も
二階堂千鶴
素晴らしいものですから!毎日充実してますし、わたくしが歩んだ道に、後悔などありませんの!
二階堂千鶴
『ふーん、本当に、本当にそう思ってる?』
二階堂千鶴
え?ど、どういう意味ですの?
二階堂千鶴
『確かにあなたは……いや、私は自分の意志でやっている。元々は、誰かに憧れられる存在に』
二階堂千鶴
『なりたくて、セレブのように振る舞うようになった。みんなも私がお嬢様だと信じてくれた』
二階堂千鶴
『そして、そのおかげでプロデューサーの目にとまり、アイドルになる事が出来た』
二階堂千鶴
『それで今は、願い通りの誰かに憧れられる存在になった……すごい、すごい事よ千鶴』
二階堂千鶴
そ、そうですわ。ですから……
二階堂千鶴
『でもそれは、本当の二階堂千鶴じゃない……仮面を被った存在よ』
二階堂千鶴
か、仮面……?
二階堂千鶴
『元々は仲間内だけのお嬢様キャラだったものが、アイドルとしてデビューしたばっかりに』
二階堂千鶴
『後に引けなくなった……私は、もう仮面を取れなくなった。ファンの前でも、仲間の前でも』
二階堂千鶴
そ、それは……
二階堂千鶴
『ふと思った事あるでしょ?もしアイドルにならなかったら、こんな嘘つく事無かったのにって』
二階堂千鶴
『今の私みたいに、好きに髪を切れるような普通の大学生活を送れていれば良かったなぁって』
二階堂千鶴
『アイドルなんてならなければ良かったって……』
二階堂千鶴
ち、違いますわ!そんな事は絶対に……
二階堂千鶴
『千鶴さん?……嘘をつきすぎたのよ……真実を知ったら、みんな離れて行くかもね』
二階堂千鶴
……い、いや、ちが、違うの……
二階堂千鶴
『……千鶴さん!あなたはもう私にはなれない……あなたはずっと仮面を……』
ﾌﾟﾛﾃﾞｭｰｻｰ
……千鶴さん!
二階堂千鶴
……えっ!?あ、あれ?プロデュー、サー……?
ﾌﾟﾛﾃﾞｭｰｻｰ
車で移動中に寝ちゃったなと思ったら、かなりうなされていたようだったので……大丈夫ですか!?
二階堂千鶴
うなされてた……つまり夢……そ、そうですわよね……。
ﾌﾟﾛﾃﾞｭｰｻｰ
千鶴さん?
二階堂千鶴
し、心配をおかけして申し訳ありません……もう大丈夫ですわ。ちょっと変な夢を見ただけですの。
ﾌﾟﾛﾃﾞｭｰｻｰ
で、でも汗がすごいですよ……まだ次の現場まで時間もあります。少し休憩しましょう。
二階堂千鶴
……そうですね。このままでは次のお仕事先にご迷惑をかけてしまいそうですから。感謝しますわ。
ﾌﾟﾛﾃﾞｭｰｻｰ
いえいえ。他にも、何かあったら言ってくださいね。俺に出来る事なら全てやりますんで。
二階堂千鶴
な、何かあったらですか。それでは……
二階堂千鶴
な、何かあったらですか。それでは……き、今日はずっと側にいて?プロデューサー、お願い……!
(台詞数: 50)