大神環
ねーねー、雪歩お姉ちゃん。
萩原雪歩
どうしたの、環ちゃん?
大神環
前から気になってたんだけど、雪歩お姉ちゃんはなんで犬が苦手なの?
萩原雪歩
………。
大神環
ジュニオールもいぬ美も、みーんなイイコなのに……。
萩原雪歩
わかってるよ。でも、やっぱり怖いんだ……。
大神環
昔、犬になにかされたの?
萩原雪歩
うん……。私の住んでいるところに昔、野良犬がいてね……。
大神環
野良犬?
萩原雪歩
小学校に行く時に、吠えられたり、追いかけられたりされたんだ。
萩原雪歩
噛まれそうになった友達もいてね。でも、怖くて誰も立ち向かえなかったの……。
大神環
そ、それはたまきでも怖いぞ……。噛まれて病気になるかもしれないし。
大神環
だからって、雪歩お姉ちゃんは怖がりすぎだぞ!襲われたわけじゃないんだし。
萩原雪歩
実は……。一回、襲われたことがあるの……。
大神環
え!?
萩原雪歩
忘れもしない、10年前の夏祭りの日……。
萩原雪歩
私は友達と近所の神社のお祭りに行ったんだけど、人が多くて、友達とはぐれちゃって……。
萩原雪歩
人混みを避けて、神社の裏手てひと休みしてたんだ。
大神環
ケータイで連絡とればよかったんじゃ?
萩原雪歩
その時は携帯電話を持ってなかったし……。
萩原雪歩
そしたらね、あの野良犬がいたの……。
萩原雪歩
そこが縄張りだったのか、すっごい吠えられて、私に飛び掛かってきたの……。
大神環
えええ!?大丈夫だったの!?
萩原雪歩
それがね、ある男の子に助けられたんだ。
大神環
男の子?
萩原雪歩
飛び掛かってきた野良犬を跳び蹴りで追い払ってくれたんだ。
大神環
ヒーローのレッドみたいでカッコいい!
萩原雪歩
どっちかというと、プリキュアみたいでかっこよかったかな?
大神環
プリキュア?
萩原雪歩
その子、屋台で売ってるプリキュアの仮面被っていたから。
大神環
え?じゃあ、顔を見てないの?
萩原雪歩
うん……。黒い髪だったのは覚えているんだけど、誰だかはわからなくて……。
萩原雪歩
転校しちゃって、もう東京に住んでいないかもしれないし……。
大神環
そっか。その子が雪歩お姉ちゃんの初恋の男の子なんだね!
萩原雪歩
た、環ちゃん!?どうしてそうなるの～!?
大神環
だって雪歩お姉ちゃん、仮面の子の話をしだしたら、急に笑顔になったんだもん。
大神環
大好きなんだよね?くふふ!
萩原雪歩
もう!からかわないでよ～!
萩原雪歩
でも、もしまた会えたら、ちゃんとお礼がしたいな……。そしたら……。
大神環
彼氏になってくれるかも……。
萩原雪歩
そんなんじゃないです～!
菊地真
…………。
菊地真
その子、意外とすぐ近くにいるかもしれないよ?
(台詞数: 43)