私の可愛い茜ちゃん人形
脚本家
平沢ヒラリー
投稿日時
2020-04-15 13:19:58

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島原エレナ
ふー、さっぱりしたヨ。スゴイお風呂だったね。
野々原茜
うんうん。いや〜、船が動かなくなった時はどうなるかと思ったけどさすが茜ちゃん、持ってるよね!
島原エレナ
助けもすぐ来るって言うし、ちょっとしたバカンスみたいだよネ。
野々原茜
だね、こんな豪華なお屋敷に泊めてもらえるなんてラッキーだったよ。
島原エレナ
……ところでアカネ、さっきカラ何やってるノ?
野々原茜
これ?茜ちゃん人形を作ってるのだよ。泊めてもらったお礼にプレゼントしようかなって。
島原エレナ
へー。アカネはホントウにその人形作るの好きだよネ。
野々原茜
まあね、これはもう茜ちゃんのアイデンティティ、そしてロイヤリティで狙うはセレブリティだよ。
島原エレナ
アハハ。もし売れるようになったら何かご馳走してネ。
野々原茜
もちろんだとも。世界中からプリンを集めたプリンパーティーなんていいかもだね。
野々原茜
……まあ本当のこと言うとさ。これは茜ちゃんなりの罪滅ぼしみたいなものなんだ。
島原エレナ
エ?
野々原茜
茜ちゃんが小学校に上がる時にね。おじいちゃんからお祝いにって、人形を貰ったの。
野々原茜
でもその頃茜ちゃん、とっても欲しい玩具があってさ。てっきりそれ貰えると思ってたんだよね。
野々原茜
それで茜ちゃん、すごく怒っちゃったの。こんなの貰っても嬉しくなんかない!って。
島原エレナ
アー……ソレは……
野々原茜
うん。パパとママにもめちゃくちゃ怒られた。それでそのお人形さん、おじいちゃんが引き取ったの。
野々原茜
だから茜ちゃん、お人形さんだけは、ずっと大切にしようって思ってるんだ。
島原エレナ
アカネ……
島原エレナ
……ソレ、人形作るのとあんまり関係ないんじゃナイ?
野々原茜
だーっ!?もう何よ、柄にもなくいい話でしんみりさせようと思ったのに。
島原エレナ
だって、ほんとにそう思ったシ……
二階堂千鶴
たしかに。特に関連があるようには思えませんわね。
島原エレナ
わ、びっくりした。千鶴さん、いたノ?
二階堂千鶴
なにやら楽しそうな声が聞こえましたのでついね。ここはふだん寂しいものですから。
島原エレナ
そういうことならもっとお話しして、仲良くなろうヨ。
野々原茜
賛成。すっかりお世話になっちゃってるしね。
二階堂千鶴
まあ、どうもありがとう。ところで、野々原さん?
野々原茜
茜ちゃんでいいよ。何?
二階堂千鶴
さきほどのお話に出てきたお人形さんは、結局どうなさいましたの?
野々原茜
それが分かんないんだよ。おじいちゃんが無くしちゃったみたいでさ。
野々原茜
茜ちゃんが嫌っちゃったせいでお人形さんどこかに行ったのかなって思うと……
二階堂千鶴
……
島原エレナ
人形がひとりで動くわけないし、どこかにマダあるんじゃない?
野々原茜
だーかーらー!
二階堂千鶴
ふふっ、たしかにね。帰ったらおじい様ともう一度よくお探しなさってはどう?
野々原茜
んもう、千鶴さんまで。茜ちゃんは大真面目に話してるのに。
二階堂千鶴
はいはいごめんなさい。じゃ、失礼しましたわ。
島原エレナ
あれ、マダお話ししようヨ。
二階堂千鶴
ありがたいですがもう遅い時間ですわ。あなた達も早くやすみなさい?
島原エレナ
ハーイ。アカネ、それちゃんと片付けないと危ないヨ?
野々原茜
茜ちゃんこれ仕上げてから寝るよ。その時しまうから。
島原エレナ
そう。じゃ、おやすみナサイ。
二階堂千鶴
おやすみなさい。
二階堂千鶴
……
二階堂千鶴
そう。覚えていてくれましたの。
二階堂千鶴
嬉しいですわ。あなたが覚えていてくれたこと、後悔していること。
二階堂千鶴
ですが……
二階堂千鶴
……

(台詞数: 49)