ジュリア
よう。アンタ、また来たのかい。プロデューサーってのも暇なんだな。
ジュリア
音楽に触れるのも仕事?アイドルなんてテキトーに歌ってるだけだろうに。ま、楽しんできなよ。
ジュリア
……お、アンタか。久しぶりだね。もう来ないと思ってたけどな。
ジュリア
ん、アイツらかい?見てのとおり、偽りの天国とやらへバカンスの真っ最中さ。
ジュリア
おいおい何ビビってんだい。芸能界じゃクスリなんて珍しくもないんだろ……今は違う?ふーん。
ジュリア
ああ、あたしはやらないよ。あたしは自分の才能に酔ってるからね。いつでも気持ちいいんだ。
ジュリア
……何、それは才能じゃないだと?言ってくれるじゃないか。次のステージ見て腰抜かすなよ?
ジュリア
……よう。また来たのかい、アンタもつくづくモノ好きだね。
ジュリア
この怪我?たいしたことじゃないよ、ちょっとしたトラブルさ。
ジュリア
才能がありすぎるのも考えもんだぜ、いつも周りの連中から妬まれちまうんだからな……
ジュリア
……おい。なんとか言えよ、もう分かってるんだろ?
ジュリア
ああ、そうだよ。あたしには才能なんてこれっぽっちもない。どうしようもないヘタクソさ。
ジュリア
この怪我もそう。ヘタクソがでしゃばるなって言われてついカッとなっちまった。事実なのにな。
ジュリア
あたしのロックごっこも、これでオシマイさ。揉め事を起こしちゃもうここには来れないしね。
ジュリア
これから?さあね、地元帰っておとなしく女子高生でもやるとするかな……
ジュリア
は?おいおい冗談よせよ、アイドルになんて興味あるわけないだろ?
ジュリア
ステージを見てみろ?はは、オタクの前でパンツ見せながら踊るようなもん見たってしょうがない……
ジュリア
……離せって。分かった、行くよ。行けばいいんだろ。アンタ思ったよりしつこいな。
ジュリア
よう、お疲れ。アンタ、たいしたやつだったんだな。この名刺見せたら皆驚いてたぜ。
ジュリア
その……悪かったよ、アンタのアイドル馬鹿にして。あの如月千早、だっけか?素直に凄かった。
ジュリア
同じ年頃であんなのがいるんだもんな。自分がどれだけ狭い世界でイキってたか思い知らされたよ。
ジュリア
あーあ。なんか、スッキリした。地元帰る前にいい思い出になったよ、ありがとな……
ジュリア
……またその話か。言っただろ、アイドルなんて興味ないよ。だいたいだな。
ジュリア
アンタ、あたしのステージを見てただろ。あたしがあの如月千早みたいになれるって思うのか?
ジュリア
今日来てハッキリわかったよ。あたしにはあんなふうに人を引き付ける力なんてない。だから…
ジュリア
……何、音楽を嫌いになったのか、だって?
ジュリア
ふざけんな、そんなわけないだろ。
ジュリア
ふざけんな、そんなわけないだろ。好きだよ、好きで好きでたまらないさ。
ジュリア
だから、こんなに苦しいんじゃないか。どうしてあたしには才能が無いんだって。
ジュリア
あたしの歌じゃ、誰も救えない。あたしの歌では、何も変わらない。
ジュリア
絶対報われないひどい片想いみたいなもんさ。だったら、いっそのこと……え?
ジュリア
お前にも才能があるって。なんだそりゃ、気休めはよせよ、今までの話聞いてたのか……何?
ジュリア
それだけ何かを好きでいられるのは、もう立派な才能だと?
ジュリア
…
ジュリア
……
ジュリア
……おい、プロデューサーとやら。
ジュリア
スジがね入りのヘタクソなロックバカを、どうやって立派なアイドルにするんだい、ええ?
ジュリア
面白そうじゃないか。どうせやることも無いんだ、アンタの話、乗ってやるよ。
ジュリア
おっと。ただしだ、条件がひとつある。なに、たいしたことじゃない。
ジュリア
あたしは歌が、ロックが大好きだ。それだけでも才能だって言ったこと、キッチリ責任取ってもらうぜ。
ジュリア
だから。いつか、あの如月千早みたいなステージにたどり着けるまで、あたしを導いてくれ。どうだ?
ジュリア
……よし!決まりだな。あたしの才能とやら、しっかり伸ばしていってくれ。頼むぜ、プロデューサー?
(台詞数: 42)