志保「ラプンツェル」
脚本家
きさら杯
投稿日時
2020-07-27 00:45:47

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最上静香
童話の朗読劇のオファーをもらったんだけど。
北沢志保
珍しいオファーね。もっと演技力のある人に来ると思ってたのに。
最上静香
でね、私が読む童話っていうのが『ラプンツェル』って話なんだけど。
北沢志保
映画にもなった有名なお話じゃない。
最上静香
実は私、原作も映画も観たことなくて、どんな内容なのか……。
北沢志保
そんな子にオファーを出すなんて、世の中おかしいわね。
最上静香
そうだ。志保にあらすじを聞けばいいんだわ。
北沢志保
なんでそうなるのよ。
最上静香
まさか、志保は知らないってことないわよね?絵本好きだし。
北沢志保
舐めないで。話せるわよ、これくらい。
北沢志保
……
北沢志保
……(今更、知らないなんて言えないし……。)
北沢志保
えーと、昔々ある国に、ラプンツェルという少女がいました。
最上静香
ベタな導入ね。
北沢志保
長い髪が自慢のラプンツェルは森の奥の高い塔に住んでいました。
最上静香
ここまでは映画のタイトルから察しがつくわ。
北沢志保
住んでいたというより、悪い魔女に監禁されていたのでした。
北沢志保
塔には出入口はなく、魔女は箒に乗って窓から出入りしていました。
最上静香
あれ?あの長い髪は使わないの?
北沢志保
魔女はただのロン毛フェチだったのです。
最上静香
フェチじゃ仕方ないわね。
北沢志保
魔女の趣味通りに育てられたラプンツェルでしたが、外の世界に憧れを抱いていました。
北沢志保
毎日外を眺めては、ラプンツェルは思います。
北沢志保
「ありのままの姿を見せたい ありのままの自分になるの」
最上静香
レリゴったわね。
北沢志保
そんなある日、ラプンツェルが窓辺で歌っていると、とある青年が通りかかりました。
最上静香
またベタな展開ね。
北沢志保
魔女の目を盗んで窓から侵入した青年は、ラプンツェルに一目惚れします。
北沢志保
「なんと美しい素足だ」
最上静香
ラプンツェルが裸足だったのは、青年の趣味だったのね。
北沢志保
外の世界を見たかったラプンツェルは、青年と旅をすることを決意します。
北沢志保
フランス、ドイツ、デンマーク、北欧諸国。二人の冒険は続きました。
最上静香
『水曜どうでしょう』の企画みたいね。
北沢志保
青年は「寒くないか?もう戻ろうか?」と訊ねましたが、彼女は言いました。
北沢志保
「少しも寒くないわ」
最上静香
またレリゴったわね。
北沢志保
「足以外」
最上静香
まだ靴を履かせてもらえなかったのね。
北沢志保
しかし、追いかけてきた魔女に捕まり、ラプンツェルは連れ戻されそうになりました。
北沢志保
2年も続いた両者の争いは、示談という形で和解しました。
最上静香
示談で終わったヴィランなんて初めて聞いたわ。
北沢志保
その後、故郷に戻った青年とラプンツェルは、小さなお菓子屋を営みます。
北沢志保
その時に偶然できたのが、あのハート型に焼いたお菓子『ラプンツェル』だったのです。
北沢志保
めでたしめでたし。
最上静香
なるほど。腑に落ちない点も多々あるけど、何となく理解できたわ。
北沢志保
ふぅ……。
最上静香
でも、これだけは言わせて?
最上静香
さっき志保が説明してたハート型に焼いたお菓子。
最上静香
『プレッツェル』だから。