春日未来
その日はテレビ局でのお仕事で
春日未来
打ち合わせの前にごはん食べようと思って、局の食堂に行ったんです
春日未来
そしたら、たまたま同じ局内でお仕事のあった静香ちゃんが先にいて
春日未来
びっくりさせよーって思って、後ろから気づかれないように近づいて覗き込んだんです
春日未来
そしたら………静香ちゃんが食べていたのは、なんと
春日未来
カレーうどんでした
春日未来
アイドルが、お仕事で、しかもテレビ局の食堂で
春日未来
カレーうどんですよ!!
春日未来
あのカレー汁は絶対に回避できないんです。絶対です。100%必ず服を汚すんです。
春日未来
でもですね、よくよく見ると
春日未来
なんと静香ちゃん
春日未来
エプロンをしてたんです
春日未来
わざわざ
春日未来
きっと持ってきたんですよ、カレーうどんのために
春日未来
なんか、脳みそがうどんみたいになったキャラクターのついたやつ
春日未来
それでも、それでも、あのうどんの複雑怪奇な動きは、カレー汁を360度全方向に飛び散らせます!
春日未来
静香ちゃん1人がエプロンをしていても、意味が無いんです!
春日未来
静香ちゃんに近づこうとするもの全てが、スパイシーになってしまうんです
春日未来
だけど不思議なことに
春日未来
全然汚れてないんです、静香ちゃんの周り
春日未来
そんなはずはないと、じっと見ていると
春日未来
静香ちゃんは、あの長い髪を妖艶にかきあげ
春日未来
張りのある小さな唇の中にちゅるちゅるとカレーうどんを吸い込んでいきました
春日未来
惹き込まれるように
春日未来
ただただ魅入っていました
春日未来
その食べ姿は、この世のものとは思えないほど美しく
春日未来
ちゅるちゅる、つるん…
春日未来
このまま見続けていると、戻って来れなくなるんじゃないかってほど
春日未来
ちゅるちゅる…つるん、ちゅるちゅる、つるん
春日未来
とても綺麗で、恐ろしくて
春日未来
気がつくと、丼ぶりの中にあったはずの茶色の液体も白いキラキラしていた麺も
春日未来
跡形もなく無くなっていました
春日未来
ここは夢の中?天国?はたまた地獄??私が見ているのは現実?
春日未来
ドクンドクンと、心臓の音がやけに近く感じます
春日未来
しばらくの間、呼吸をするのも忘れていたのかもしれません
春日未来
静香ちゃんは手際よくエプロンを畳み、空の丼ぶりの乗ったトレーを持ち上げながら席を立ち
最上静香
あら未来、今からごはん?
最上静香
ごめんなさい、先に済ましてしまったわ
最上静香
じゃあね、お仕事頑張りましょう
春日未来
そのまま、トレーの返却口へと向かって行きました
春日未来
いつもの静香ちゃんでした
春日未来
私が見たのはなんだったんだろう?
春日未来
うどんの妖精?魔女?女神?
春日未来
ま、いっか
春日未来
私は、それ以上気にしないようにしようと
春日未来
ひと呼吸おいて
春日未来
自分の注文をするために、食券機の前に立ちました
春日未来
でも、その時とても恐ろしいことに気がついてしまったんです
春日未来
その食堂
春日未来
メニューにカレーうどんなんて、なかったんです
(台詞数: 50)