豊川風花
はぁ~ん、癒されたぁ~。やっぱりオフは猫カフェね。久しぶりに来れて良かったな~。
豊川風花
出来るなら、ずっとここにいたいくらいだけど……ふふっ、無理な話よね。お仕事だってあるし。
豊川風花
さて、帰って明日の準備しなきゃ。CM撮影って聞いてるけど、露出の多い格好じゃなければ……あら?
豊川風花
『にゃあ』
豊川風花
……!
豊川風花
か、かわいい~っ!黒猫ちゃんだ。毛並みもとっても整ってて美人さんねぇ~。のら猫ちゃんかしら?
豊川風花
私をずっと見てるわ。なになに?私が気になるの?凛としてて目も綺麗で、本当にのら猫ちゃん?
豊川風花
あっ!走って……すぐ止まった。またこっちを見てる。私に着いてきて、って言ってるの?なんてね。
豊川風花
でも、のら猫ちゃんに気に入られたの初めてで嬉しい!ねぇねぇ、せっかくだからお話しましょ?
豊川風花
そうだな……のら黒ちゃん、って呼んでいい?あなたいつからこの辺りにいるの?近くに行っても……
豊川風花
あっ、近付いたら走った!待って!って、また止まった。のら黒ちゃん、本当に私を呼んでるの?
豊川風花
また走った……!よしっ、こうなったら、何としてものら黒ちゃんとお話する!待って~っ!
豊川風花
わっ、こんな狭い路地裏に入った!い、行ってみる?胸は……まぁさすがに通れるけど。
豊川風花
うぅ、まだお昼過ぎなのに、路地裏ってこんなに暗いのね。でものら黒ちゃん、また私を見てる。
豊川風花
でも本当に……綺麗な目。真っ黒な体に金色の目がくっきりと浮かんで、見てると吸い込まれそう。
豊川風花
……
豊川風花
……今行くから待っててね、のら黒ちゃん。
豊川風花
……結構進んだけど、のら黒ちゃんはまだ止まらないのね。どんどん路地裏も狭くなってるし、
豊川風花
もう私とのら黒ちゃんが通るのが精一杯ね。あっ!のら黒ちゃん、ビルの配管を登って行った!
豊川風花
待って!私も今から行く!配管を登って、ビルの縁に渡って、この窓の手すりなら大丈夫そうね。
豊川風花
ここをよじ登って……よいしょ!よしっ、ビルの屋上に出た!のら黒ちゃんはどこ?のら黒ちゃん!?
豊川風花
のら……
豊川風花
えっ?私、なんで今ビル登れたの……?小さなビルだし、夢中だったけど……でも、そんな……
豊川風花
きゃぁぁっ!?手っ!私の手が、けむくじゃらに!?つ、爪もある!肉球も……あ、やわらかい。
豊川風花
じゃなくて、これってまさか!まさか私は……鏡!あ、ビルの窓!反対側のビルの窓に私が映って……
豊川風花
……!
豊川風花
『にゃあ』
豊川風花
のら黒ちゃん……あなたなの?あなたが私を、猫にしたの?
豊川風花
あぁっ!?待って、行かないで!追いかけなきゃ!
豊川風花
は、速い!猫だからすごく速く動ける!もう少しでのら黒ちゃんに追い付けそう……
豊川風花
わぁっ!ビルとビルの間をジャンプした!こんな所から落ちたら……いや、今の私は猫!えーいっ!
豊川風花
や、やった!私もビルの間をジャンプ出来た!すごい!猫の体って、こんなにすごいのね!
豊川風花
体も軽い……わっ、バク宙出来たわ!本当に私、猫になってるんだ。な、なんだかわからないけど……
豊川風花
楽しい!あ、のら黒ちゃんがまた走り出したわ!追いかけっこね!ふふっ、待って~っ!
豊川風花
のら黒ちゃんが配管からビルを下りてくわ!私も……よっ、ほっと、下りれた!結構簡単ね!
豊川風花
周りのモノも人も全部大きいけど、ちゃんと避けて行ける!ごめんなさ~い!猫の私が通りま~す!
豊川風花
ふふっ!走るだけでもとっても楽しい!何にも縛られない、自由な開放感!気持ちいいな~っ!
豊川風花
あ、のら黒ちゃんみっけ!今度は木登り?なら私も行くよっ!にゃにゃにゃにゃにゃ~っ!
豊川風花
にゃっと!のら黒ちゃんは……枝の所にいる!さぁ、やっと追い付いたわ!のら黒ちゃん!
豊川風花
……わぁ、綺麗な景色!この木から街を一望できるのね。ひょっとして、ここに連れて来たかったの?
豊川風花
ん?なぁに可愛いお手々なんか出して……一緒に行こう、って事かしら?
豊川風花
不思議とわかってたの。私を仲間に入れたいのかな、って。確かに、猫の体はとっても楽しかったわ。
豊川風花
でもね、のら黒ちゃんとは一緒に行けないな。だって……あ、ここからも見える、あの大きな建物。
豊川風花
あそこに、私の大好きな人達がたくさんいるの。あそこにいる事が、私にとっては幸せなの。
豊川風花
だからごめんね、のら黒ちゃん。せっかく誘ってもらったんだけど、私は私の日常に──
豊川風花
──ふぇっ!?
豊川風花
ここは、猫カフェ……!?や、やだ私ったら、また寝ちゃってたの?ごめんなさい店員さん。
豊川風花
……あまりにも気持ち良さそうに寝てたから起こさなかった、ですか?や、やだっもう私ったら……
豊川風花
『にゃあ』
豊川風花
えっ?お店の子、じゃない。入口の外に黒いのら猫ちゃんがいますね。あ、行っちゃった……。
(台詞数: 50)