北沢志保
我が家には温泉に入れなくてブルブル震えている駄神というべきお稲荷さまがいます。
矢吹可奈
志保ちゃ〜ん、寒いよ〜。私も温泉入りたい〜。
北沢志保
何度も言ってるけど駄目よ。
矢吹可奈
何故に⁉︎
北沢志保
このご時世なのよ。ソーシャルディスタンスに決まっているじゃない!
矢吹可奈
その広い露天風呂に1人で入っているのに?
北沢志保
あたり前田のクラッカーよ。
矢吹可奈
志保ちゃん、年いくつ?
北沢志保
乙女に年を聞くなんて失礼な駄神ね。その生えて来た毛をもう一度毟りとってあげようかしら。
矢吹可奈
乙女はそんな物騒なこと言わない!
北沢志保
しかし今年は本当に大変な年だったわね。むしろ現在進行形でひどくなってるけど…
矢吹可奈
ほんとだね〜。過去の流行した病気から見て収束するのに2.3年くらいかかるんじゃない?
北沢志保
冗談じゃないわね、全く…
矢吹可奈
まさかマスクを手放せない世の中になるなんてね。
北沢志保
ん?確かお稲荷さまは毒が効かないのよね?なら567も…?
矢吹可奈
それは無理だよ。私は毒には耐性あるけど病気には普通にかかるから。
北沢志保
そういえば風邪をひいた事あったわね。
矢吹可奈
だから567は私も怖いんだよねー。
北沢志保
(でもお稲荷さまは腐っても神…いや正確には腐っても大妖怪…)
北沢志保
(常人離れした回復力を持っているからお稲荷さまを感染させてその血からワクチンを作れれば…)
北沢志保
(私はボロ儲け。人の為にもなるし全て丸く収まり万事OK)
北沢志保
ねぇ、お稲荷さま。
矢吹可奈
やらないよ!
北沢志保
まだ何も言ってないけど。
矢吹可奈
心の声が全て顔に出てたよ!私は嫌だからね。
北沢志保
チッ!無駄に勘がいいわね。
矢吹可奈
乙女がしちゃいけない態度!
北沢志保
まぁ、いいわ。チャンスはいくらでもあるから。
矢吹可奈
乙女が物騒なこと考えない!
北沢志保
ふぅ、さすがに長湯しすぎたかしら。ちょっと頭がボーっとして来たわ。
矢吹可奈
あ、それは湯あたりになりかけてるんじゃないかな。早く出ないと。
北沢志保
かもしれないわね。
矢吹可奈
目の前真っ暗になって意識が飛んで倒れて右眉のところ切ったりしたら大変だよ。
北沢志保
何、その具体的な例えは?
矢吹可奈
…とある人の体験談。
北沢志保
はて?
矢吹可奈
それより志保ちゃん、早く出てよ。代わりに私が入るから。
北沢志保
言っとくけどお稲荷さまは入っちゃ駄目よ。
矢吹可奈
何故に⁉︎
北沢志保
だってそのまま入ったら湯船が毛だらけ、ノミだらけになるじゃない。
矢吹可奈
へ?
北沢志保
他のお客さんの迷惑になるから入っちゃ駄目。入りたければ毛皮を剥ぎなさい。
矢吹可奈
何その2択…
北沢志保
丁度数年に一度の寒波が来て寒いから新しい手袋やマフラーが欲しかったのよね。
矢吹可奈
志保ちゃん?笑みを浮かべながら近寄って来ないで…
北沢志保
ふふふのふ。温泉に入りたいのなら…ね?
矢吹可奈
志保ちゃん、湯あたりだったんじゃ…?
北沢志保
もう治ったわ。
矢吹可奈
あ、やっぱ温泉はもういいかな〜。
北沢志保
そう。でも毛皮は剥ぐわ。新しい手袋とマフラー欲しいし。
矢吹可奈
乙女は欲望を隠しなさいよ!
北沢志保
なんとでも言えばいいわ。こうなれば実力行使で!
矢吹可奈
た〜す〜け〜て〜!こんな大晦日嫌〜〜!
(台詞数: 53)
にしやん
2020-12-31 23:18