菊地真
お、雪歩! ここからならよく見えるよ。
萩原雪歩
ほんとだ。街灯が少ないし開けてるから星がよく見えそうですぅ。
菊地真
とは言ってみたけど、シーズン的に街中がライトアップされてて、明るくはあるよなあ。
萩原雪歩
大丈夫だよ真ちゃん。こういうとき星が見えやすくなる方法があるんだ。
菊地真
わかった! 一軒一軒回って明かりを消してもらうようにお願いするんだ!
萩原雪歩
真ちゃん。
菊地真
大丈夫、きっと雪歩の名前を出せば皆聞いてくれるよ!
萩原雪歩
聞いて、真ちゃん。
菊地真
聞いてるよ、雪歩。
萩原雪歩
ここからでも星の光が見やすくなる方法があってね。
菊地真
なるほど! 街長に連絡して街中の電気を全部消してもらうんだね! 賢い!
萩原雪歩
見て、真ちゃん。
菊地真
見てるよ、雪歩。
萩原雪歩
こんな感じで手で輪っかを作って……
菊地真
そっか! それのハンドサインを見た電気係の人? がごそっと停電するんだ!
萩原雪歩
この輪っかを双眼鏡みたいに覗けば、邪魔な光が見えなくなって
萩原雪歩
星の光が見えやすくなるんだ。
菊地真
雪歩しか見えない……
菊地真
なるほど! 遠い空の星より地上にある星、つまり雪歩を観ればよかったんだ!
萩原雪歩
真ちゃん。
菊地真
そっか、確かにさっき雪歩は「見て」っていってくれてたもんね。
菊地真
ボクが気づいていなかっただけだったんだ。
萩原雪歩
真ちゃん。
菊地真
本当の『一等星』は、ずっと一番近くにいて……
菊地真
本当の輝きは、目に見える光じゃないんだね。
萩原雪歩
なんだか青い鳥と星の王子様のキメラみたいな気づきだけど。
萩原雪歩
真ちゃん、そのまま空を見てみて。
菊地真
はーい。
菊地真
……
萩原雪歩
……
菊地真
ボク冬の星座ってオリオン座しかわかんないんだよね。
萩原雪歩
あ、普通に星の話するんだ。
萩原雪歩
分かりやすいもんね。明るい星だらけで
菊地真
じゃあオリジナルの星座描くから見てて。
萩原雪歩
真ちゃん。
菊地真
聴いてください。オリジナル星座『雪歩座』
萩原雪歩
……
菊地真
まずあの三つ並んでる星を腰として……
菊地真
その下で明るい二つを足として……で、三連星の上は赤いのとその隣のを肩
菊地真
さらに上のを頭にして、右手はあれとあれをつないで棍棒持ってることにして
菊地真
左はあれとあれとその先の明るいやつ……は敢えて使わずに下ので獅子の毛皮持たせて
菊地真
出来上がり!
萩原雪歩
うん、そっくりそのままオリオン座だよね。
菊地真
オリ……オン座? はて。なんのことかわかんないや。思いつくままに描いただけだから。
萩原雪歩
オリオン座知ってるから左腕におうし座アルデバランを使わなかったんだよね。
萩原雪歩
というか、真ちゃんさっきオリオン座しか知らないって言ってたよね。
菊地真
も……もしかして、静かに見えて誰よりも勇敢な雪歩がボクの中でオリオンと重なってしまった
萩原雪歩
真ちゃん、嘘へただよね。
菊地真
へへっ、ホントだよ。
菊地真
やっぱり雪歩が一番明るいや。
(台詞数: 50)