百瀬莉緒
ヴァンパイアを狩りなさい、これは命令よ。
二階堂千鶴
ふん。民にとっては生き血を絞りとるお前たち貴族こそヴァンパイアだろうに。
百瀬莉緒
まあ。なんて麗しい騎士道なのかしら、アレクサンドラ。貧しい人々を思いやるだなんて。
百瀬莉緒
でもいいの?私の香が無ければ、あなたの大切な妹はどうなるのかしら。
二階堂千鶴
くっ。ノエルを人間に戻す方法さえ見つかれば…
二階堂千鶴
…お疲れ様ですわ莉緒さん。いかがでしたかしら?
百瀬莉緒
よかったわよ千鶴ちゃん。悩める騎士の雰囲気がよく出ていたと思うわ。
二階堂千鶴
これぐらいセレブなわたくしにとって当然の演技ですわ、おーっほっほ…ゲホッ。
二階堂千鶴
けど莉緒さんもさすがですわね。台詞だけで何だか本当にエレオノーラがいるように思えましたわ。
百瀬莉緒
ふふ、ありがと。妖艶な感じがしたかしら?
二階堂千鶴
ええ。長年の仇敵にやっと逢えたような気持ちになりましたわよ。
百瀬莉緒
ちょっとちょっと、物騒なこと言わないでよ。お芝居はなりきるんじゃなくて演じるものよ?
二階堂千鶴
ふふ、それだけ莉緒さんの演技が迫真に迫っていたということですわ。
百瀬莉緒
なんか意味深よねそれ。セクシーな美女を演じてるつもりなんだけど…
高木社長
お疲れ様二人とも。調子はどうかね。
百瀬莉緒
あら社長、お疲れ様。ええ、今のところ順調ですよ。
二階堂千鶴
朋花と恵美達も頑張っていますわ、公演に期待しててくださいまし?
高木社長
もちろんだとも、初日から千秋楽まで欠かさず通わせてもらうつもりだよ。
二階堂千鶴
嬉しいですけどプレッシャーも感じますわね、気合いを入れないといけませんわ。
百瀬莉緒
大丈夫よ、千鶴ちゃんの演技にはプロデューサーくんも太鼓判を押してるんだから。
百瀬莉緒
けど珍しい脚本よねこれ。てっきりもっと、リアルなお話かと思ってたんだけど。
二階堂千鶴
たしかにそうですわね、初めての舞台公演がファンタジーというのはちょっと珍しいかもですわ。
百瀬莉緒
プロデューサーくんも思い切ったことやるわよね。こんな脚本どこで見つけてきたのかしら。
高木社長
ファンタジーな作り話、か…
二階堂千鶴
あら社長、いかがなさいまして?
高木社長
うん?ああいや、なんでもないよ。
百瀬莉緒
そうだ。ねえ社長、この脚本家ってどんな人か知ってます?
高木社長
脚本家かね?
百瀬莉緒
ええ。これ、結構すごいお話だからもしかして有名な人が書いたのかなって。
二階堂千鶴
そういえば、台本に脚本家の方のお名前がありませんわね。普通は必ず書かれてあるはずですけど。
高木社長
さ、さあてねえ。公演に関することはプロデューサーくんに一任してあるから…
百瀬莉緒
じゃ、今度聞いてみよっと。さて千鶴ちゃん、もう一度やりましょうか?
二階堂千鶴
ええ。それじゃ次はエレオノーラと対決するシーンを…
高木社長
…
高木社長
…記念すべき第一回目の公演にファンタジーな作り話、か。
高木社長
少し、趣味を出しすぎてしまったかねえ。もう少し気を付けておくべきだったかな。
高木社長
…エレオノーラ。せめてお芝居でもキミに会いたいばかりにこんな脚本を書いてしまった。
高木社長
愚かだと笑うかな?キミを探すために、呪われた永遠の命を手にした男がこんな真似をするとは…
百瀬莉緒
ええ。あなたは昔と変わっていないのね。自分では何もせず、ただ見てるだけ…
高木社長
!!
高木社長
!!
い、今のは…百瀬くん!?
い、今のは…百瀬くん!?
百瀬莉緒
お馬鹿さんねえ、アレクサンドラ…きやっ?びっくりした、社長、急に何よ?
二階堂千鶴
社長?申し訳ありませんけど、今はレッスンの最中ですので…
高木社長
あ。い、いやなんでもないよ。邪魔をして悪かったね、それじゃ…
高木社長
…自分では何もせずただ見てるだけ、か。その通りかもしれないな。だが。
高木社長
そういう愛し方もあるのだよ、エレオノーラ。キミには伝わらなかったのかもしれないがね…
(台詞数: 46)