木下ひなた
んっしょ。
高山紗代子
はい。
木下ひなた
どうも『焼林檎』です。
高山紗代子
よろしくお願いします!
木下ひなた
あのねえ、紗代子さん。聞いてほしい事があるんだべさ。
高山紗代子
どうしたの?
木下ひなた
地元で、悪い事をしちまったって話をしたいんだけども、良いだろうか?
高山紗代子
えっ? ひなたちゃん、虫一匹始末しなさそうなのに。
木下ひなた
何言ってるべさ。地元に居た時は、畑の作物荒らす害虫はしっかりと駆除してたよお。
高山紗代子
言われてみればそうだったね。
じゃあ悪い事って、一体何をしたの?
じゃあ悪い事って、一体何をしたの?
木下ひなた
とっても罰当たりな事かもしれねえんだけどもね。
木下ひなた
とっても罰当たりな事かもしれねえんだけどもね。産廃を放棄しちゃったんだよお。
高山紗代子
あ、ダメダメダメ!
ひなたちゃん、本当に流したら
いけない情報だってそれは!
ひなたちゃん、本当に流したら
いけない情報だってそれは!
高山紗代子
この漫才は電波とSNSの力で色んな人に拡散されてるんだから、
言葉に気を付けてよね!
言葉に気を付けてよね!
木下ひなた
やっちまった事実は覆らないべさ。それと、悪い事した話はもう一個あるんだわ。
高山紗代子
え、何。まだ何かあるの?
木下ひなた
うん。拾得物横領をしてねえ。
高山紗代子
言う順番が逆かなー? 産廃のインパクトが強すぎて、そっちのパンチが弱く感じる!
高山紗代子
ところで、産廃の放棄って
一体どこに何を捨てたのかな?
一体どこに何を捨てたのかな?
木下ひなた
捨てたのは三度笠だよお。
高山紗代子
三度笠!?
高山紗代子
それって放射性物質を大量に浴びたような、汚染された物?
木下ひなた
失礼な!婆ちゃんの手作りで愛情こめて編みこさえてくれた、立派な三度笠だよお!
高山紗代子
それを、産廃呼ばわりしてる、
ひなたちゃんの方が失礼だよねえ!?
ひなたちゃんの方が失礼だよねえ!?
木下ひなた
そんで、その三度傘を神社の方に……。
高山紗代子
ダメだって! 神社が処理してくれるのは悪霊と憑き物だけだから!
高山紗代子
そもそも、何で現代に三度笠なんてものをお婆さんは作ってくれたの!?
木下ひなた
んっと、最初から話すとね……。
木下ひなた
その日はねえ、学校の運動場で
フリーマーケットのバザーを
やってたんだわ。
フリーマーケットのバザーを
やってたんだわ。
高山紗代子
フリマのバザー。
木下ひなた
あたしも何か、家から売れそうな物を持っていこうかって考えてたら、婆ちゃんがねえ。
木下ひなた
「これを持っておいき」って、
三度笠をこさえてくれたんさあ。
三度笠をこさえてくれたんさあ。
高山紗代子
うわぁ、いい話……。
高山紗代子
うわぁ、いい話……。
にはならないからね!?
にはならないからね!?
高山紗代子
フリマに三度笠を出すって、
イギリス人の手料理を食べるくらいの敗退行為だよ!
イギリス人の手料理を食べるくらいの敗退行為だよ!
木下ひなた
こらあ! エミリーちゃんの悪口は言っちゃいけねえべ!
高山紗代子
エミリーちゃんは例外!
木下ひなた
まあ良いべ。結局、一個も売れなかったからあたしは家に帰ることにしたんだわ。
高山紗代子
そりゃそうだよね。
木下ひなた
帰りは雪がなまら降ってたから、
雪宿りをしようと思って、神社に
寄ったんだわ。
雪宿りをしようと思って、神社に
寄ったんだわ。
木下ひなた
そしたらそこに、雪を被った
お地蔵さんがいっぱい並んでてねえ。
お地蔵さんがいっぱい並んでてねえ。
高山紗代子
ん?
木下ひなた
頭が寒くて気の毒だったから、
婆ちゃんの三度笠をお地蔵さんに全部被せてあげたんさあ。
婆ちゃんの三度笠をお地蔵さんに全部被せてあげたんさあ。
高山紗代子
それは捨てたって言わない!
全然悪い事じゃないよ!
まごうことなき善行!
全然悪い事じゃないよ!
まごうことなき善行!
高山紗代子
いや、でもどこかで聞いたことある話な気がする!
木下ひなた
そんで、家に帰ってきたらビックリ。
木下ひなた
家の前に、お米の袋、30kg分が
5袋も置いてあったんだあ。
5袋も置いてあったんだあ。
高山紗代子
恩返しして貰ってるよね!?
お地蔵さんが、三度笠を被せてくれてありがとうって!
お地蔵さんが、三度笠を被せてくれてありがとうって!
木下ひなた
それを警察に落とし物として届けて、結局持ち主が現れなかったから引き取ったんだわさ。
高山紗代子
……。
高山紗代子
拾得物横領じゃないよ!
合法的な手段通してるから、
落ち度は一切無いからね!
合法的な手段通してるから、
落ち度は一切無いからね!
木下ひなた
あれえ? そうだったのかい?
あたしはとんだ勘違いをしてたみたいだねえ。
あたしはとんだ勘違いをしてたみたいだねえ。
高山紗代子
あー、ひなたちゃんが何も悪い事してなくて良かった!
高山紗代子
あれ? それじゃあ産廃の放棄っていうのは一体……?
木下ひなた
あぁ、その事かい? 実は神社に
入った時に、あたし……。
入った時に、あたし……。
木下ひなた
お参りをするのを忘れちゃったんだべさ。
高山紗代子
……ひなたちゃん。
高山紗代子
つまり、『参拝』を『放棄』しちゃったってことだね?
木下ひなた
うん! 罰当たりな事だよお。
高山紗代子
間違いないね。
ありがとうございました。
ありがとうございました。
(台詞数: 60)