萩原雪歩
人は、簡単に変われないよ。
ジュリア
変わるさ。現にあたしは昔と違う。
萩原雪歩
……。
ジュリア
アンタは何も変わらないな。
ジュリア
おどおどして、自信なさげで、少しはあたしを見習ったら──
萩原雪歩
ぷぅちゃんは、今でも優しいよ?
ジュリア
はぁ?
萩原雪歩
あれから毎日だよね。朝早くここまで来て、掃除して、お花も替えて……。
ジュリア
わざわざストーカーまでしてたのか。ご苦労なこった。
ジュリア
ま、内心で柄じゃないとか、らしくないとか思ってるんだろ? 別に笑ってもいいぜ。
萩原雪歩
違うよ。
ジュリア
はっ、じゃあいよいよ犯罪者予備軍にでも仲間入りしたのか。
萩原雪歩
正直、私はぷぅちゃんのこと……監視してた。
ジュリア
……ユキ、まさか本当に──
萩原雪歩
ぷぅちゃん。
ジュリア
……。
萩原雪歩
顔色も悪いし、日に日にやつれていってるよ。
萩原雪歩
ご飯、禄に食べてないんだよね?
ジュリア
それでまた性懲りもなくクッキー焼いてきたってか。
萩原雪歩
……。
ジュリア
前にも言ったよな? あたしがこんなもん食うわけないって。
ジュリア
放っとけよ。アンタには関係ない。
萩原雪歩
……関係あるよ。私も、おばさんにお世話になったから。
ジュリア
……いちいちうるせえな。
萩原雪歩
ぷぅちゃん、お願いだから──。
萩原雪歩
お願いだから……ぐすっ、ちゃんと生きようとしてよ……。
萩原雪歩
おばさんの事、辛いのは分かるよ……。でも、ぷぅちゃんが自暴自棄になってどうするの……?
萩原雪歩
苦しめば何かが変わるの? 何も……何も変わらないよ……。
ジュリア
……ああ。
ジュリア
アンタはいつもそうだったな。
ジュリア
気は弱いくせに、鬱陶しいくらい他人の事に首突っ込んでくる。
萩原雪歩
……ごめん、ごめんね……。
ジュリア
……。
ジュリア
せめて立派に生きようって、決めてた筈なんだけどな……。
萩原雪歩
……ぐすっ。
ジュリア
なあ、ユキ。
ジュリア
クッキー、1枚くれよ。
萩原雪歩
え……?
ジュリア
あたしが腹空かしてるように見えるんだろ?
萩原雪歩
あ……う、うん。
ジュリア
……変な形だな。
ジュリア
それに甘すぎる。
萩原雪歩
……うん。
ジュリア
まあ、でも悪くはない。
萩原雪歩
……うん。
ジュリア
ユキ。
ジュリア
今度さ、作り方教えてくれよ。
ジュリア
上手くできたら、お袋にあげようと思うんだ。
ジュリア
いつになるか皆目見当つかないけど、
ジュリア
ま、それまでは頑張ってみるよ。
(台詞数: 50)