菊地真
てくてく。
萩原雪歩
てくてく。
菊地真
てくてく。
萩原雪歩
てくてく。
菊地真
そう、良いよ。
菊地真
歩きたい時は「てくてく」って言うんだ。ドラマシアターではそれで歩いてる事になるから。
萩原雪歩
うん。わかった。
菊地真
てくてく。
萩原雪歩
てくてく。
菊地真
良いね。かなり慣れてきたみたいだし、次行ってみようか。
萩原雪歩
はーい。
菊地真
次はちょっと難しいからね、今からボクが言う事を良く聴いて……?
菊地真
ー3年後ー
菊地真
ってゆっくり言うと3年くらい経った事になるから。
萩原雪歩
「さんねんご」って言えばいいの?
菊地真
ただ言うだけじゃダメだよ。ナレーションっぽく言うんだ。
萩原雪歩
ナレーションっぽく……なるほど、わかったよ。
菊地真
時間を操る手法は他にもあるよ。
菊地真
例えば「かくかくしかじか」って言うと、物事を説明する時間を省略する事ができるんだ。
萩原雪歩
え?なんでそれだけで説明が省略されちゃうの?
菊地真
むぅ。これには諸説あるからなぁ。簡潔に説明するのは難しいかも。
萩原雪歩
そうなの?でも良ければ知りたいな。
菊地真
うーん。ちょっと長くなるけどいいかな?
萩原雪歩
わかった。ちゃんと最後まで聴くね。
萩原雪歩
ー3年後ー
菊地真
ちょっと待とう、さすがに3年もかかる説明じゃないから。
萩原雪歩
そうなの?加減がむずかしいね。
菊地真
うん。まぁ3年経っちゃったものはしょうがないとして。
萩原雪歩
ー1年半前ー
菊地真
応用が効くね。
萩原雪歩
えへへ♪
菊地真
でもそれは回想シーンに入る時に使う言葉なんだ。
萩原雪歩
そうなんだ。
菊地真
うん、回想に入っても一度進めてしまった時間は戻らないから注意してね。
萩原雪歩
ー現在ー
菊地真
うん。雑に戻ってきたね。
萩原雪歩
なんだか楽しくなっちゃって。
菊地真
そっか。でも多用は禁物だよ?
萩原雪歩
うん、わかった。
菊地真
じゃあとりあえずかくかくしかじかの説明をしておこうか。
菊地真
要するにかくかくしかじかなんだ。
萩原雪歩
あっ、凄い!理由が分かったような気がするね!
萩原雪歩
でもなんだか不思議だね。ちゃんと説明されてはいないのに。
菊地真
これはドラマシアターというよりは日本語そのものに備わっている特殊な使い方だね。
萩原雪歩
じゃあドラマシアター以外でも使えるの?
菊地真
そうだね、日本語で書かれた世界観の中なら基本的には通用するはずだよ。
菊地真
そうだ!ドラマシアター特有の、話の終わりを意味する言葉があるんだ。
萩原雪歩
そんな言葉があるんだね。なんて言えばいいの?
菊地真
それはね。
菊地真
これで50台詞目だよ。
(台詞数: 50)