二階堂千鶴
「うん、これで良し」
二階堂千鶴
ーー23日分の依頼品はこれで完了だ。
二階堂千鶴
今回で、バースデーケーキの依頼は終える事を12月の人は告げていた。
二階堂千鶴
彼女は、もう平気であると……。
二階堂千鶴
これ以上は、彼女にとっての依存に繋がると……。
二階堂千鶴
12月の人にも、考えがあるのだろうがこちらも、簡単に常連さんを失う訳にいかない。
二階堂千鶴
今回は、ちょっとしたアドリブを入れる事にした。気にいってくれるといいのだが……
二階堂千鶴
(カラン、カラン♪)
二階堂千鶴
ーー18時過ぎ、門を開けてケーキの依頼人……12月の人がやって来た。
二階堂千鶴
「いらっしゃいませ、はい…少々お待ちくださいませ。」
二階堂千鶴
ーー直前になって緊張してきた。確かに写真通りではあるが、ウケるかは一か八か……
二階堂千鶴
「はい、こちらになります。
萩原雪歩
ーー舞台(ケーキ)にはアイドルが立っている
四条貴音
ーーお互いに背中を任せる様に
二階堂千鶴
ある意味で本来の依頼とは逸脱している。12月の人は少し驚いた顔を浮かべている。
二階堂千鶴
頼んだ本人もそんな注文をしたのかなと疑問符を浮かべている。私はその返答にーー
二階堂千鶴
「はい、少しサービスを加えました。舞台の上で、歌を届けるその姿に心が動かれましたので」
二階堂千鶴
「安心した笑顔…彼女一人だけの力だったのでしょうか?」
二階堂千鶴
「背景をイメージしていく内に、お隣りに加えてしまいました…。」
二階堂千鶴
ライブ会場の隣りに映る銀髪の娘…12月の人は意外そうな顔をした後に納得の表情を見せる
二階堂千鶴
「きっと同じな筈です」
二階堂千鶴
「彼女さんの笑顔の支えに…。」
二階堂千鶴
「お客様は、含まれていないのですか?」
二階堂千鶴
──────
二階堂千鶴
「……いえ、追加分のお代は結構です。」
二階堂千鶴
「わかりました。それでは保冷剤を入れておきますので早めに冷蔵庫の中の保管をお願いします。」
二階堂千鶴
「はい、ありがとうございました〜。」
二階堂千鶴
…………………ふぅ
二階堂千鶴
だいぶ危ない橋を渡ったが、あの雰囲気なら来年も来てくれそうだ。
二階堂千鶴
「描く人も二倍なら苦労も二倍と言ったところですわ。」
二階堂千鶴
…………(ピュ〜)
二階堂千鶴
季節外れの花火の音が聞こえる。
二階堂千鶴
この時期は雪景色の空や寒空で見る星が、定番なのだが…。
二階堂千鶴
「きっと見えてますわね」
二階堂千鶴
ーーー祝砲にしては少し出来過ぎた感じではあるが…
二階堂千鶴
「……さて、今年のクリスマスケーキの発注分、修羅場になりますわ」
二階堂千鶴
「あとは、来年分ですわね。えっと…こちらは1月1日の黒澤・・・」
(台詞数: 37)