萩原雪歩
…大天使さま、あの胎児が私の…?
萩原雪歩
下界を映す水鏡には1人の妊婦。
萩原雪歩
小柄で、優しそうなお母さんだな…。
萩原雪歩
その隣には、肉付きの良い男の人。
萩原雪歩
優しそうなお母さんとは対照的に、強面で地獄の鬼のような風貌のお父さん…。
萩原雪歩
そのお父さんを見ると下界への転生に不安を覚える。
萩原雪歩
その2人の後ろにある、テレビという電子の箱絵巻に映る獣を見て、より身体が強張る。
萩原雪歩
頭は一つだが、まるでケルベロスのような牙を剥かせてる…。
萩原雪歩
その唸り声が大きくなると…
萩原雪歩
その唸り声が大きくなると…お父さんはテレビを消してお母さんのお腹を優しく撫でる。
萩原雪歩
『怖い獣がいても、お父さんが絶対守ってあげるからな。』って、声をかけてくれて…。
萩原雪歩
……。
萩原雪歩
それを見て、私の不安は決意に変わった。
萩原雪歩
大天使さま、私…あの人たちの子供として転生します!!あの人達の子供としてなら…きっと…!
萩原雪歩
想いは心より先に外に発していた。
萩原雪歩
きっと、あのお父さんお母さんの元なら…ダメダメな下級天使の私でも強くなれそうな気がして…!
萩原雪歩
…でも、転生するならひとつだけ…お願いを良いですか?
萩原雪歩
…私が好きな歌を…下界でも沢山歌いたいです…!
萩原雪歩
直後、私に落ちる雷。
萩原雪歩
そして、消えゆく天使界の記憶と暖かい温もりの中で…大天使さまの最後の言葉が聞こえた…。
萩原雪歩
『勇気を持ちなさい。貴女が歌い続けるには誰にも負けない勇気を…』と。
萩原雪歩
『貴女の勇気が人々の笑顔になるのです。』…と。
(台詞数: 22)