
萩原雪歩
ここはどの海だろう。

萩原雪歩
星を散りばめた海は夜と重なって。

萩原雪歩
──まるで、空に浮いてるみたい。

萩原雪歩
魚が泳ぐ。

萩原雪歩
波に揺られる。

萩原雪歩
手を伸ばす。

萩原雪歩
海へ。ううん、空へ。

萩原雪歩
魚は雲。

萩原雪歩
波は気流。

萩原雪歩
似てるけど、どこか違う。

萩原雪歩
ゆらゆら、波のゆりかごが揺れて。

萩原雪歩
──ふわぁ、眠い。

萩原雪歩
夜は目が冴えない。

萩原雪歩
冴えないから余計に眠い。

萩原雪歩
だからいい。

萩原雪歩
ぐっすり眠りたいもの。

萩原雪歩
──でも、もう少し頑張ろうか。

萩原雪歩
翼を伸ばす。

萩原雪歩
もう戻らない空へ。

萩原雪歩
じっと焼き付ける。

萩原雪歩
星が咲く天球を。

萩原雪歩
雲は魚。

萩原雪歩
気流は波。

萩原雪歩
似てるけど、やっぱり違う。

萩原雪歩
──空から見れば、私も星に見えるかな。

萩原雪歩
──その内、見えるようになるよね。

萩原雪歩
それなら、ここは"なりかけ"の空。

萩原雪歩
私は星。

萩原雪歩
まだ蕾の一番星。

萩原雪歩
鳥になって、偽物の天球をたゆたうよ。
(台詞数: 30)