水瀬伊織
～箱崎財閥公国領内国境付近～
水瀬伊織
「ちょっとあんた!ずかずか行き過ぎなのよ!」
萩原雪歩
最前線に突出した僕と並走を続けながら、彼女は説教を垂れる
萩原雪歩
シャル「・・・」
萩原雪歩
「大尉も一緒になって前に出ちゃったら、説得力がないと思いますぅ」
水瀬伊織
「も、もうっ、ユキホは黙ってて!」
萩原雪歩
「ひぃ!!」
水瀬伊織
「今はいいの!」
水瀬伊織
「とにかく、この大馬鹿新兵にわからせてやるんだから!」
水瀬伊織
「誰が37000小隊の主役で、そして誰がリーダーなのかをね!」
水瀬伊織
「とにかくっ、ハギワラ中尉は私達の後ろから援護射撃をして!」
萩原雪歩
「わかりました!全力を注ぎますぅ!」
水瀬伊織
「お願い、信じてるんだから!」
萩原雪歩
シャル「・・・」
萩原雪歩
心地いい
萩原雪歩
どこからともなく、止むこともなく飛んでくる銃弾の嵐
萩原雪歩
兵士たちの怒号、悲鳴
萩原雪歩
鼻に付く様な、咽るような血の臭いと、薬莢の匂い
萩原雪歩
それらが風に乗って、僕の元へと一気に運ばれてくる
萩原雪歩
そして、思う
萩原雪歩
ああ、僕は今戦場にいて、戦っているんだ
萩原雪歩
殺戮兵器としての使命を、罪を背負って立っているんだ
萩原雪歩
帰ってきたよ
萩原雪歩
ただいま…
萩原雪歩
宙に舞っては落ちる空の薬莢
萩原雪歩
銃弾を浴びて魂を失った空の肉体
萩原雪歩
ボクはそんな戦場で生まれた
萩原雪歩
戦場に育てられて
萩原雪歩
戦場で全てを失った
萩原雪歩
もともと、守る者なんて何一つなかったのかもしれない
萩原雪歩
ボクは奪う側の兵器へプログラミング(教育)されたのだから…
萩原雪歩
だけど…
萩原雪歩
今は、守りたい者がある
萩原雪歩
前もあったんだけど…
萩原雪歩
ボクには守る事ができなかった
水瀬伊織
「ラビット少尉!」
水瀬伊織
「ちょっとあんた!聞いてるの!?」
萩原雪歩
守るべき対象である、彼女の言葉で現実に呼び戻される
萩原雪歩
ここは戦場、全てが心地よくて、心地が悪い
水瀬伊織
「ちょっと、なんか言いなさいよ!」
萩原雪歩
シャル「邪魔です」
水瀬伊織
「えっ!?」
水瀬伊織
「て、あんた、喋れるじゃないの!」
萩原雪歩
シャル「兵器工場破壊の任務は僕一人でできます」
萩原雪歩
シャル「そこにいられたら、足手まといになります」
水瀬伊織
「ムキィー!開口一番言ってくれるわね!」
水瀬伊織
「いい!?上官の話をよく聞きなさいよ!これはあんた一人の任務じゃないの」
水瀬伊織
「私達、皆の任務なのよ!だからね、少しは仲間を信じて…」
水瀬伊織
「あっ…」
萩原雪歩
その時、僕に説教をし、敵への注意を欠いた彼女を幾多の銃弾が襲おうとしていた…
(台詞数: 50)