萩原雪歩
「…綺麗だなぁ」
萩原雪歩
辺りはすっかり雪景色
萩原雪歩
走る車や建物、公園の手摺りに信号機に積もる真っ白な雪
萩原雪歩
この時期だけ見れる、どこか幻想的な景色
萩原雪歩
きゃっきゃとはしゃぐ子どもたちや、危なげに歩くヒールの女性
萩原雪歩
滑りそうになって慌てた様子のサラリーマンのおじさん、寒そうながらも笑い合う学生達
萩原雪歩
みんなみんな、楽しそう…
萩原雪歩
ーーーーー
萩原雪歩
そんな楽しげな風景も今はなく、日付も変わりそうな遅い時間
萩原雪歩
私は去年と同じ、この場所でプロデューサーを待っている
萩原雪歩
「昨日は楽しかったなぁ…」
萩原雪歩
そう、昨日は私の誕生日
萩原雪歩
みんな忙しいはずなのに、私のために時間を作ってパーティーをしてくれて…
萩原雪歩
花束もプレゼントも、『おめでとう』って言葉と一緒にたくさん貰った
萩原雪歩
嬉しくて嬉しくて、泣きそうになった
萩原雪歩
…ううん、実際に少しだけ泣いちゃってた
萩原雪歩
その時のプロデューサーは慌てた様子で私を気遣ってくれて…
萩原雪歩
あぁ、やっぱりこの人は優しい…
萩原雪歩
こんなにも…愛おしい
萩原雪歩
この想いを伝えることはまだ出来ないけど
萩原雪歩
その時が来るまでは、側にいさせてくださいね?
萩原雪歩
もちろん、プロデューサーがそれを許してくれるのは分かっている
萩原雪歩
プロデューサーは優しいから、私のこの願いはきっと簡単に受け入れられる
萩原雪歩
それが分かってて、こんなことを思う私はやっぱりズルいのだろう
萩原雪歩
…でも
萩原雪歩
私はもう迷わないと決めた
萩原雪歩
逃げない、諦めない
萩原雪歩
絶対にプロデューサーは譲らない
萩原雪歩
そう、決めたから
萩原雪歩
ーーーーー
萩原雪歩
「ハァ～」
萩原雪歩
白い息を吐いてみる
萩原雪歩
これを見ると、冬だなぁと改めて感じる
萩原雪歩
すると突然、視界が真っ暗になった
萩原雪歩
この大きな手は…
萩原雪歩
「………」
萩原雪歩
ふふっ♪
萩原雪歩
リアクションを中々起こさない私に、プロデューサーは少し戸惑ってるようだ
萩原雪歩
私の両目を塞ぐこの両手は、とても冷たかった
萩原雪歩
私をなるべく待たせまいと、急いで走ってきたのだろう
萩原雪歩
そう思うと、とても嬉しかった
萩原雪歩
私は何も言わず、その手をそっと両手で包み込む
萩原雪歩
ふふ、驚いてるみたい
萩原雪歩
こんな風に時々子どもっぽくて、意地悪で…
萩原雪歩
でも、いつも優しくて…
萩原雪歩
好きで…大好きで…
萩原雪歩
私の愛しい人…
萩原雪歩
そんな彼に、最初にかける言葉はもう決まっている
萩原雪歩
私はくるっと笑顔で振り返り…
萩原雪歩
「ここに来る前に電話してた『りんちゃん』って誰ですかぁ?」＼ふぇぇ…/
(台詞数: 50)