憧れはその胸に
BGM
自分REST@RT
脚本家
遠江守(えんしゅう)P
投稿日時
2017-08-22 00:34:48

脚本家コメント
ミリシタのスカウト組の物語。
久々に、リハビリがてら投稿。

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天海春香
『39プロジェクト…。』
天海春香
『私たちは、新しい仲間を募集しています。』
七尾百合子
…本屋の帰り。
永吉昴
…試合の帰り。
七尾百合子
駅ビルの巨大なディスプレイに、鮮やかな色彩で映し出されたその姿は。
永吉昴
あれって、天海春香だよな。最近よくテレビに出てる、有名アイドルの。
七尾百合子
クラスの人たちが雑誌を片手に話していたから、あの人がアイドルだっていうのは知ってるけど…。
永吉昴
へえ…。新人アイドルを募集してるのか。765プロって勢いあるもんな。
天海春香
『華やかなステージに立ちたい。自分を変えてみたい。歌やダンスが好き。』
天海春香
『どんな理由だって大丈夫。その想いが、アイドルへの扉を開く、ただ一つの鍵です。』
七尾百合子
羨みをもって見上げる自分に気付いて、その気まずさに、視線を伏せた。
七尾百合子
きらびやかな衣装を纏って歌い踊る。その姿はまるでお姫様のよう。
七尾百合子
でも…それが似合うのは私じゃない。私のはずがない。
七尾百合子
本の世界に埋もれて、物語を渡り歩く私にとって、きらめくステージはどこまでも遠く…。
七尾百合子
車窓から見える遠い景色のように、この目に映った。
永吉昴
アイドルか。オレには無理だよな…。
永吉昴
それはまあ、アイドルは好きだし、あんな風に可愛くなりたいとは思うけどさ…。
永吉昴
こっちは、野球ばっかで毎日泥と汗にまみれてる男女。
永吉昴
時々、長い付き合いのチームメイトだって、オレが女だってこと忘れるくらいなんだぜ?
永吉昴
アイドルになりたいなんて、口にしただけで…きっと、笑われるだろうな。
七尾百合子
気を取られていて、通行人にぶつかりそうになって、慌てて横に避けた。
永吉昴
その時、ふっとお互いの目が合った。
七尾百合子
歳は私と同じくらいかな?
七尾百合子
髪はばっさりと短く、服装はスポーツのユニフォーム。肩には武骨なスポーツバッグを架けていて。
七尾百合子
土と埃で汚れたその姿は、ボーイッシュを通り過ぎて、男の子と見間違えてしまいそう。
七尾百合子
だけど、凛々しい顔にあどけなさと可愛らしさが垣間見えて、不思議な魅力を感じさせる人だった。
永吉昴
可愛い女の子だな…。
永吉昴
アーガイル柄のカーディガンに、プリーツスカート。髪の毛にオシャレな編みこみが入れてあって。
永吉昴
これでもかってくらいに女の子な感じの格好に、いかにも「おしとやか」ってフンイキ。
永吉昴
胸には本屋の袋を抱えていて…頭もいいんだろうな。
七尾百合子
アイドルになるには、きっとこの人のように、主人公に相応しい特別な魅力が無いと…。
永吉昴
アイドルっていうのは、こういう女の子らしいヤツじゃないと…。
七尾百合子
…いいの。私は今の自分に十分満足しているから。
永吉昴
…やめた。こんなこと考えても、めんどくさいだけだよな。
天海春香
『私たちも、その小さな憧れが始まりでした。』
七尾百合子
諦めと無情を抱えて、家路を急ぐ私の背中に。
永吉昴
冷めた心で聞き流そうとした、オレに語りかけるように。
天海春香
『憧れを、憧れのままで、終わらせないで…!』
七尾百合子
背中を追いかけてきたその言葉が、何故か。
永吉昴
なぜか、胸の奥深くまで届いて、小さな熱となって、刺さった。

(台詞数: 40)