萩原雪歩
世界はかつて四人の統率者たちによって運営されていた
天空橋朋花
元より統率者は世界の秩序を守る為に現界し君臨する事となった存在である
望月杏奈
しかし統率者だけで世界の秩序を守るのは非効率的であり限界があった
萩原雪歩
統率者達はどうすれば効率的に世界の秩序を保つ事が出来るのかを考えた・・・
天空橋朋花
そこで統率者達が目を付けたのが人間であった
望月杏奈
彼等は統率者とは似て非なるものであったが・・・
萩原雪歩
器としては十分に機能すると考えられたのだ
天空橋朋花
それから統率者達は試験的に素質のある魂に限定的ではあるが能力を与えていった
望月杏奈
それが...
萩原雪歩
リクルーター
天空橋朋花
メッセンジャー
望月杏奈
コレクター
萩原雪歩
フィクサー
天空橋朋花
能力者の誕生である
望月杏奈
役職体制は次第に整っていき上手く機能するかのように思われた
萩原雪歩
しかし人間とは業の深い生き物である
天空橋朋花
統率者から付与された能力を私利私欲の為に悪用する者が現れ始めると・・・
望月杏奈
そのシステムは腐敗していき破綻していった
萩原雪歩
統率者達は議論の末、能力者達には規律で縛り付りつける必要があると考えた
天空橋朋花
そこで統率者達はルールを定め導入することにしたのである
望月杏奈
統率者達が求めていたモノは世界のシステムの一部として完璧に機能する器
萩原雪歩
歯車の様に回り続けられる、そんな魂である
天空橋朋花
故に彼等など所詮は統率者達の代替品でしかない
望月杏奈
たとえ器が苦しみ傷つき最期には壊れてしまおうとも・・・
萩原雪歩
回り続けて擦り切れてしまった古い歯車は新しい歯車に替えられるだけ
天空橋朋花
たったそれだけの話
望月杏奈
たとえ惨めな人間共に非難されようとも
萩原雪歩
そこには世界の秩序を守るという大義名分があるのだ
天空橋朋花
その大義の上にはどんな犠牲も許される
望月杏奈
なぜならその犠牲はいずれ秩序の中に還元されていくからだ
萩原雪歩
だが皮肉なことに世界の均衡を・・・
天空橋朋花
秩序を破壊してしまう者は統率者の中から現れることとなる
望月杏奈
その統率者は人の行いに興味を持っていた
萩原雪歩
そして人の持つ性質に魅了されてしまったのだ
天空橋朋花
我々にとってそれは人の世界における病の一種と捉えてもいいほどに・・・
望月杏奈
その統率者は病的に人に惹かれていき、人に憧れ、人と深く関わっていくようになった
萩原雪歩
するとその統率者は人と同じように悩み苦しむようになったのだ
天空橋朋花
我々には心などないというのに・・・
望月杏奈
その統率者は消滅していった魂へ行ってきた行為を恥じると・・・
萩原雪歩
自責の念に苛まれ自分を追い込んでいった
天空橋朋花
最期にはこれまでに壊れてしまった器と同じように彼女も壊れてしまうと・・・
望月杏奈
全ての使命を放棄した
萩原雪歩
そして力を行使して自らの記憶を消去すると・・・
天空橋朋花
地上に人の子として堕ちたのだった
望月杏奈
故に咎人に待ち受けていた運命は煉獄そのものだった
萩原雪歩
この席には長らく誰も座っていない
天空橋朋花
何者として座るかは咎人次第・・・
望月杏奈
物語はこうしてはじまった
(台詞数: 48)