萩原雪歩
「私は、あなたの事が好きです。」
萩原雪歩
─オレは冗談だと思った。だってユキがよりによってオレを好きだなんて、考えてもなかった。─
萩原雪歩
透「なぁ、お前の好きって言うのは、友達として?それとも男としてなのか?」
萩原雪歩
「うん....私は、透君のことが異性の人として好き。大好きだよ。」
萩原雪歩
「だって、優しくて格好良くて、私をアイドルにするきっかけをくれたから....。」
萩原雪歩
─そう言うとユキはパジャマのボタンを1つづつはずして、服をはだけさせた。─
萩原雪歩
透「ちょ、何やってんだよ!下着が見えてるから!目を閉じててやるから早く着、」
萩原雪歩
「透君....誤魔化さないで。....私をちゃんと見て!!」
萩原雪歩
─オレに対してユキは辛そうに、でも意思のこもった強い口調で叫んだ。─
萩原雪歩
「私ね...本当に行って欲しくないんだよ。それが例え、透君の夢のためだとしても。」
萩原雪歩
「透君の事を考えるだけで心が熱くなって....ドキドキしちゃうから....。」
萩原雪歩
─ユキはオレの手を掴み、ゆっくりと胸に持っていって当ててきた。─
萩原雪歩
─決して大きくないけど柔らかい胸の感触と、心臓のトクリ、という音が手に伝わる。─
萩原雪歩
「....私達しかいないんだよ?透君、私の気持ち....もっと知って、愛して欲しいな。」
萩原雪歩
透「ユキ、もうやめろよ....オレだって男なんだから....勘違いしそうになるだろ。」
萩原雪歩
「勘違い....してもいいんだよ?だって私....透君になら何されても平気だから。」
萩原雪歩
─その瞬間、オレは強引に引き寄せられ、布団へ一緒に倒れこんだ。─
萩原雪歩
「透君....きて....。あなたで私の心をいっぱいにして....。」
萩原雪歩
─積極的になったユキの破壊力は凄まじく今すぐにでもゴールしたかった....でも....─
萩原雪歩
透「ゴメン....オレは...お前の気持ちに答えられない。」
萩原雪歩
「....どうして?私のこと....嫌いなの?私のこと、愛して....くれないの?」
萩原雪歩
透「嫌いじゃない、むしろ大好きだ。だけど....愛してる訳じゃないんだ。」
萩原雪歩
透「愛していない女を抱くなんてこと....できない。オレのせいで、傷つけてしまうから。」
萩原雪歩
「私なら大丈夫....だから....早く....無理しなくていいんだよ?」
萩原雪歩
透「無理をしてるのはむしろお前のほうだろ?....手、震えてるぞ。」
萩原雪歩
「....だって、こうでもしなきゃ透君....海外に行っちゃうでしょ?」
萩原雪歩
「私....怖いよ。透君、人気者だからきっと上手くやっていける。だけど....」
萩原雪歩
「透君、私のこと忘れない?地味な私のことでも....いつまでも覚えていてくれる?」
萩原雪歩
─そうか、ユキはオレと同じ様な不安を抱えていたのか...オレはたまらず彼女を抱き締めた。─
萩原雪歩
「透....君?どうして?透君のこと疑ったのに....優しくしてくれるの?」
萩原雪歩
透「オレは....例え海外に行っても、ユキと過ごした時間は絶対に忘れない。」
萩原雪歩
透「だって....こんなに可愛い女の子を不安にさせたこと、そう簡単に忘れられないさ。」
萩原雪歩
透「ユキ....オレは絶対に帰って来るから....それまで待っていてくれ。」
萩原雪歩
透「その時....オレのこと好きでいてくれたら....ちゃんと返事をするから。」
萩原雪歩
「....うん、わかった....。辛いけど、その時まで待ってるから、約束だよ。」
萩原雪歩
「でも....今だけは透君の胸の中で泣かせて....。お願い。」
萩原雪歩
─その後、ユキはオレの胸の中で泣いていた。何度も何度も、襟を掴んですすり泣いていた。─
萩原雪歩
─オレは、慰めにもならないけど、ユキが泣き止むまでずっと....彼女に胸を借した。─
萩原雪歩
─彼女の涙の重みを受け止め、オレは何があっても夢を追い求める決意を固めた。─
(台詞数: 39)