萩原雪歩
バタンッ!!
萩原雪歩
プロデューサーっ!!
萩原雪歩
...私は柄にもなく勢いに任せて病室の引き戸をスライドさせる
萩原雪歩
P「ゆき・・・ほ?」
萩原雪歩
...プロデューサーは驚いたのか、少し間抜けな面を浮かべて私を見ていて・・・
萩原雪歩
...なんだか恥ずかしいです・・・
萩原雪歩
うぅ・・・私、穴掘って埋まって・・・
萩原雪歩
P「おいおい・・・流石にここで穴は掘らないでくれ・・・」
萩原雪歩
P「やっと無菌室を抜け出せたっていうのに、これじゃあまた戻されちゃうじゃないか」
萩原雪歩
す、すみません・・・
萩原雪歩
...やっと会えたのに・・・
萩原雪歩
...本当に嬉しいのに・・・
萩原雪歩
...すごく言いたい言葉が...
萩原雪歩
...すごく言いたい言葉が...喉でつっかえて出てこない・・・
萩原雪歩
...たった七文字の言葉なのに・・・
萩原雪歩
(やっぱ私・・・弱虫ですぅ)
萩原雪歩
P「なぁ、雪歩...」
萩原雪歩
P「なぁ、雪歩...俺の手を握ってくれないか?」
萩原雪歩
...顔を挙げると、プロデューサーは私に優しく微笑んで、手を差し伸べてくれていた
萩原雪歩
プロデューサー・・・
萩原雪歩
...プロデューサーの細くなった手は震えていた
萩原雪歩
...きっとそれは、プロデューサーが初めてみせた弱い部分
萩原雪歩
...わからないですよね・・・
萩原雪歩
...怖いですよね・・・
萩原雪歩
...きっとまだ、プロデューサーは悪夢の中で・・・
萩原雪歩
...だからこそ、私がプロデューサーの手を握って教えてあげなくちゃです
萩原雪歩
...プロデューサーは、ちゃんと帰ってきたんだよって
萩原雪歩
...真ちゃんと約束したように、ちゃんと、笑顔で・・・
萩原雪歩
はい!
萩原雪歩
ギュッ...
萩原雪歩
P「そうだな...」
萩原雪歩
P「そうだな...雪歩の手、温かいな」
萩原雪歩
はい!私、男の人の手、ちゃんと握れるようになりました!
萩原雪歩
P「ああ!本当だな!!すごく嬉しいよ!!!」
萩原雪歩
P「俺、目が覚めたとき、医者に言われたんだ、ドナーが見つかったって」
萩原雪歩
P「でも、半信半疑だった、きっと俺はまだ夢の中にいるんじゃないかって、不安だった」
萩原雪歩
P「だけど雪歩のお陰で、俺はまだ生きているんだって、改めて実感したよ」
萩原雪歩
P「ありがとう!...ポタポタ」
萩原雪歩
P「俺のこと、諦めないでいてくれて、ありがとう!」
萩原雪歩
私が諦めなかったのは、プロデューサーを信じてたからですぅ
萩原雪歩
プロデューサーも決して諦めないって信じてたから・・・
萩原雪歩
だってまだ...
萩原雪歩
だってまだ...私のプロデュース、終わってないから・・・
萩原雪歩
P「雪歩・・・」
萩原雪歩
...これから先、私達は幾度、違う季節を一緒に跨いでいけるかなんてわからないですけど・・・
萩原雪歩
...でも、これだけは言えます
萩原雪歩
...私達には明日がある
萩原雪歩
...一緒に、一歩ずつ、歩いていける明日がある
萩原雪歩
...だから...
萩原雪歩
おかえりなさい、プロデューサー!!
(台詞数: 50)