萩原雪歩
【4月も終わりに近づいてきた頃、私は部屋の山積みの段ボールを整理していた。】
萩原雪歩
【たくさんのアニメグッズやライブで買った物を整理していた。一番奥に眠る段ボールの底に
萩原雪歩
見慣れない箱。】なんだろう。【箱を開けると古いノートとMD…とあるミュージシャンの写真集】
萩原雪歩
まさか…これは。【恐る恐るMDを再生する。聞こえるのは少女の鼻唄と下手くそなコードを
萩原雪歩
刻むギター】あっ…【鼓動が早くなる…一気に想い出がフラッシュバックする】
萩原雪歩
【それは中三の時の忘れてた…いや、無理矢理忘れた初恋の記憶】
萩原雪歩
【この日から私は不眠症になるくらい精神のバランスが崩れた】
萩原雪歩
【新学期。私は新たなクラスになりホームルームでどの委員会に入るかを決めていた】
萩原雪歩
まあよくわかんないし、あの子が一緒ならこれにしよう。
萩原雪歩
【ちょっとかわいいクラスメイトと同じボランティア委員会に入る】
萩原雪歩
【4月末。委員会の活動で福祉の祭りのバサーに参加する事に…】
萩原雪歩
【カキ氷やクレープなどの屋台をお手伝い。普段顔くらいしか知らない下級生とも仲良くなる】
萩原雪歩
【その中に彼女は居た。箱崎星梨花(仮名)小柄でツインテールの似合う女の子だ。】
萩原雪歩
【その時は別に意識もせず、ただ笑いを取るためにありえないミックスをしたカキ氷を食べ
萩原雪歩
オーバーリアクションをとるというサムい事をしていた。】
萩原雪歩
【祭りも終わり学校に戻る。私はバス通学だったのだか、その日は日曜日でバスが3時間に一本】
萩原雪歩
乗れなかった…どうしよう。【グラウンドにある置き去りの高跳び用のマットに1人座る】
箱崎星梨花
先輩はなにしてるのですか?ちょっとお話しませんか?
萩原雪歩
え?あっ…う、うん【びっくりと緊張で声がひっくり返る。人見知りで初めて話す人とは目も
萩原雪歩
合わせれない】箱崎さんだよね?バレー部の?
箱崎星梨花
はい。先輩は卓球部の萩原さん。よく面白い事してるから知ってます。
萩原雪歩
【3時間の間ずっと止まらない会話。好きな歌、好きなテレビやらいろいろ話していつの間にか
萩原雪歩
バスの時間。】あっそろそろ時間だ。そういえば箱崎さんもバスだっけ?
箱崎星梨花
いえ、私は歩きですよ。萩原さんが行ってる塾の近くです。あのふとん叩きの
萩原雪歩
そうなんだ。ごめんね。遅くまで
箱崎星梨花
いえいえ。前から気になってましたから。
萩原雪歩
【家に帰りシャワーを浴びながら今日を振り返る。箱崎さんを思い出すたびに
萩原雪歩
今まで感じた事のない気持ちに支配される。なんともこそばゆいようなワクワクするような】
萩原雪歩
【授業中も部活中もずっと考えてしまう。移動教室でたまにすれ違うとドキドキする】
萩原雪歩
【近くにいるのがわかると自然と大っきな声でしゃべってみたり】
萩原雪歩
【しかし恥ずかしく、あと一歩が踏み出せず話しかけれない。そうこうするうちに部活を引退。
萩原雪歩
ますます会う機会が減る。ある日部活の後輩が「箱崎のどこがいいんですか?」と聞いてきた
萩原雪歩
私はムッとしながら好きな理由を伝えた。すると後輩は「本気なんですね。なら協力しますよ」と
萩原雪歩
生年月日から電話番号まで。】さすがに電話は…
萩原雪歩
【夏休みに入り彼女は毎日部活に来ていた。私は彼女に会えるかな?って下心ありつつ学校の
萩原雪歩
音楽室へ。先生に頼みこみ開放してもらい毎日足を運んで好きなCDを聞きながら勉強していた
箱崎星梨花
先輩。毎日なにしてるんですか?
萩原雪歩
【突然の事に驚き私は】別に何も…【と、答えた】
箱崎星梨花
またまた。ギターが目当てでしょ。弾いてますよね。下手くそなの
萩原雪歩
ひどい…
箱崎星梨花
冗談です。私もギター弾きに来てもいいですか?
萩原雪歩
もちろん。
萩原雪歩
【毎日箱崎さんは部活終わると音楽室に来て一緒に楽器を触る】
箱崎星梨花
明日の花火大会…私は友達と行くのですが先輩は?
萩原雪歩
私も友達と行くよ。
箱崎星梨花
じゃあ会うかもしれませんね。
萩原雪歩
だね。
萩原雪歩
【なんでこんな事を聞いたのかわからないが乗り気じゃなかった花火大会が楽しみになってきた】
萩原雪歩
続く…
(台詞数: 49)