萩原雪歩
こんばんは、萩原雪歩です。
萩原雪歩
ひんそーでちんちくりんで、犬と男の人が苦手ですけど、アイドルをやっています。
萩原雪歩
それで、こんな私にも、その……
萩原雪歩
き、気になる男の人が出来ちゃいました……!
萩原雪歩
その人と一緒にいると何と言うか……暖かいお茶を飲んでいる時みたいに落ち着くんです。
萩原雪歩
仕事やプライベートの相談も真摯に受けてくれたり、
萩原雪歩
泣きたくて穴を掘って埋まってた時も、優しく手を差し伸べてくれたりもしました。
萩原雪歩
そしてその都度、顔が火照り出す私がいることに気づき始めたんです。
萩原雪歩
それで、ふと思ったんです。これが恋なんじゃないかなって。
萩原雪歩
それでですね、えっと……
萩原雪歩
……あの、もしもですよ?
萩原雪歩
それらの事象が全部、神さまの定めた運命だとしたら、
萩原雪歩
こうして、二人で歩くイルミネーションの時間も、
萩原雪歩
今日という特別な日に、私を選んだ彼も、
萩原雪歩
そして、こんなに男の人が苦手な筈なのに……
萩原雪歩
徐々に惹かれていった私も、彼と同じ運命の輪の中で廻っているのでしょうか?
萩原雪歩
独善的な考えかもしれません。それでも……
萩原雪歩
それでも、今日だけは信じたいんです。
萩原雪歩
……ねえ神さま。運命というものが存在するのなら、
萩原雪歩
あなたはこの神聖な夜に、恋する女の子を平等に見てくれていますか?
萩原雪歩
みんなは待っている筈です。あなたから与えられる魔法の時間を。
萩原雪歩
雪のように冷たい空気の中に宿る、神聖な追い風を。
萩原雪歩
だから、お願いです。
萩原雪歩
どんなにちっぽけでもいい。彼の隣で俯いて歩くこんな私にも……
萩原雪歩
勇気を、ください。
萩原雪歩
……。
萩原雪歩
きっと、ここが用意された分岐点。
萩原雪歩
言わなきゃ……。
萩原雪歩
「あ、あのっ」
萩原雪歩
「その……」
萩原雪歩
伝えなきゃ……私の……。
萩原雪歩
「……うぅ……ぐす……」
萩原雪歩
聖夜の魔法は、この夜と共に過ぎ去ってしまうのだから。
萩原雪歩
だから……
萩原雪歩
「……」
萩原雪歩
「あ……」
萩原雪歩
「え、えへへ。……なんでもないですぅ」
萩原雪歩
歪むことなく均衡に保たれた未来。
萩原雪歩
甘くて酸っぱい果実の時間より、約束された平穏な明日を……その時の私は選んだ。
萩原雪歩
でも、これでいいんです。
萩原雪歩
これで明日の私は今日よりもずっと輝いて、今よりもずっと笑顔になれる。
萩原雪歩
その選択を生んだのは、私の右手に宿った神さまからの贈り物。
萩原雪歩
「”今は”これだけで十分ですよ?」
萩原雪歩
大切にしたい人と一緒に作る……この温もりこそが、
萩原雪歩
私が望んだ運命の証なんです。
(台詞数: 45)