萩原雪歩
うう……天界の軍団を離れて、人の世に降りてきたけど、これからどうしよう……
萩原雪歩
前はメッセンジャーだったから、伝える相手のところに行って帰ってくれば良かったけど……
萩原雪歩
……もう、帰る場所が無いんだよねえ。行くアテも無いし。
菊地真
フッ。地上に純白の花びらが落ちたと感じたが……キミが降りてくるとは考えてなかったよ。
萩原雪歩
……貴女は、まさかサタン!弱った私を滅ぼしに来たの?
菊地真
そんなつもりは無いさ。熾天使の魂ひとつなら、別にタイミングを図らなくても獲れるしね。
萩原雪歩
ううっ、軽んじられてるよ……じゃあ、私を地獄の戦力とするべく、堕落を勧めに来たの?
菊地真
……キミが望むなら、ボクについて来ればいいさ。それを決めるのはキミの『自由』。
菊地真
ただ……今のキミが翼を休める場所が欲しいなら、それはボクの元にしか無いと思うよ。
萩原雪歩
……それが貴女の手口?サタンちゃん、そう言って天の使徒を何人も魅了して来たんだ。
菊地真
だから違うって。みんなが『自由』に集って来ただけ。「神」のやり口について行けなくてね。
菊地真
それよりさあ……昔の名前で呼んでくれないかな?他の娘の前では建前で出来ないけど。
萩原雪歩
……貴女は困り者ね、マコエルちゃん。
萩原雪歩
……
萩原雪歩
……マコエルちゃん。昔聞けなかったことを訊いてもいい?
萩原雪歩
かつては天の軍団のトップで、正義の心も戦いの力も誰にも負けなかったマコエルちゃん……
萩原雪歩
みんなが憧れてたのに。お仕事も一生懸命やってたのに。なんで、天を離れたのかな……。
菊地真
……そうだね。ボクほど天の戦士として優秀な者は居ない。後任のトモカエルなんて話にならない。
菊地真
……
菊地真
人間を観察して分かったんだ。そこには天界には無い、『自由』がある。
菊地真
奔放と言うべきなのかもね。たとえ「神」の意思で造られた物だとしても……
菊地真
他者を助けたいなら助ける。望みが有るならそれを叶える。憎むものが有るなら責めればいい。
菊地真
それが『自由』。全てのものはそう在るべきだ。造り手であっても、『自由』を奪うべきじゃない。
萩原雪歩
……
菊地真
感じてるかい?人間の『自由』を否定する「神」達は、急速に力を失ってる。
菊地真
ボクには分かるよ。「神」達は敗れる。人間が、「神」の勝利を望んでないからね。
菊地真
「神」無き後の世界。それがどうなるかは分からない。ボクは「神」じゃないし。
菊地真
ただ……人間の望みを反映した世界になるはずだ。その世界を『自由』に選んだんだから。
菊地真
そのためにボクは闘ってる。ボクの『自由』な意思で。……そういう答えでいいかな?
萩原雪歩
……
萩原雪歩
マコエルちゃん。もう一つだけ訊かせて?天を離れた一番のきっかけって、何なの?
菊地真
……
菊地真
だって「神」ってば、ボクに鎧兜か、男子と同型の服しか着させてくれないんだよ?
菊地真
ボクだって、他の天使や人間みたいな可愛い服を着たいのにさ。お前の「使命」に合わないって。
菊地真
「反逆するなら、本当に男の姿に造り直すぞ」って言われたから、グーパンして出てっちゃった。
菊地真
いや実はさ。今は戦闘服を着てるけど、プライベートではドレスやワンピースばっかりだよ。
菊地真
『自由』に可愛い服着て。ご飯も『自由』にパンケーキとか食べて。髪も伸ばしてる途中だし。
菊地真
「神」が居なくなったら、名前もルーちゃんとかに替えようかなって。
菊地真
……どうだいガブリエル。ボクとともに『自由』のために闘わないか?
萩原雪歩
……
萩原雪歩
そんなマコエルちゃん、誰も望んでないよ!私、ついていけない!
(台詞数: 41)