萩原雪歩
……
萩原雪歩
……来ちゃったんですね。
萩原雪歩
あれだけ来ないでって言ったのになぁ。
萩原雪歩
人にはあれだけ言っておいて他人の言いつけは守らないんですね。
萩原雪歩
本当に、昔から変わってなさそうで何よりですぅ。
萩原雪歩
さて、何度来てくれても、私が言うことは同じですよ。
萩原雪歩
私もあなたと同じで、ずっと変わりませんから。
萩原雪歩
何より、ここはそういう場所ですし、そういう風に出来てます。同じことしか言えません。
萩原雪歩
……
萩原雪歩
見てください。今の空、綺麗ですよね。
萩原雪歩
……ずっとこうなんです。ずっと居ますから。
萩原雪歩
それでも、綺麗に見えるんですよね。
萩原雪歩
……さて、質問です。
萩原雪歩
ここは誰の夢なんでしょう。
萩原雪歩
街の誰かでしょうか。それとも、外の人が羨んでるんでしょうか。
萩原雪歩
……こう考えて見てください。
萩原雪歩
ここは誰かが見た夕日の夢じゃなくて。
萩原雪歩
……夕日が見た街の夢かもしれませんよ。
萩原雪歩
……考えてください。
萩原雪歩
夢はみられる為に生まれたんでしょうか。
萩原雪歩
夢は楽しませるために生きてるんでしょうか。
萩原雪歩
そんなことのために、私は居るんでしょうか。
萩原雪歩
……
萩原雪歩
あ、ごめんなさい。言い方が悪かったですぅ。
萩原雪歩
夢を見るのは良いんです。良いことかどうかは別として、いいんです。
萩原雪歩
ただ、考えてほしいんですぅ。
萩原雪歩
ここに来てくれたんですから、それくらいしてくれても良いですよね。
萩原雪歩
……
萩原雪歩
そろそろ、まとめに入りますね。
萩原雪歩
最近、ここは私の夢でした。一人だったんです。
萩原雪歩
でも、あなたが来てくれた。何度忘れても来てくれた。
萩原雪歩
それは、とっても嬉しいですぅ。
萩原雪歩
……でも、同じくらいここの事も大切に思ってるんですよ。
萩原雪歩
出来るだけ、見つかりたくないなぁって……
萩原雪歩
……ですから、ここから覚めたあとも……
萩原雪歩
絶対、絶対……誰にも言わないでくださいね。
萩原雪歩
そしてまた、忘れてください。
萩原雪歩
……良いんです。私は色んな人に知ってほしいわけじゃないし。
萩原雪歩
それに……人に自分を見せるのは怖いし……
萩原雪歩
ですから、これで良いんです。綺麗さっぱり見なかったことにして、忘れてください。
萩原雪歩
……私は大丈夫です。忘れませんから。
萩原雪歩
……前もいったかもしれませんね。
萩原雪歩
あ、それもそうか。私は同じことし言えないんでした。
萩原雪歩
……では、少し速いですが、ここらでお別れしましょうか。
萩原雪歩
約束、守ってくださいね。
萩原雪歩
あなたに見てもらえて嬉しかったですぅ。
萩原雪歩
それでは、さよなら。
萩原雪歩
今度はもう、逢うことは無いでしょう。
萩原雪歩
沈んでしまった記憶の海で。
萩原雪歩
誰の事かさえ、分からなくなりますように。
(台詞数: 50)