萩原雪歩
久しぶり、だね。
ジュリア
誰かと思ったらアンタか。
萩原雪歩
元気にしてた?
ジュリア
……帰れよ。話すことなんて無い。
萩原雪歩
これ、作ってみたんだ。良かったら……。
ジュリア
はっ、クッキー? 甘ったれたアンタにはお似合いだね。
ジュリア
あたしがこんなもん食うわけないだろ。
萩原雪歩
じゃあ、おばさんにあげて。きっと喜ぶから。
ジュリア
はいはい分かったよ。で、用は済んだか?
萩原雪歩
……ねぇ。
ジュリア
んだよ、まだ何かあるのか。
萩原雪歩
ぷぅちゃん、昔はそんな派手な格好しなかったよね。
ジュリア
悪いかよ。あたしは生まれ変わったんだ。
萩原雪歩
違うよ。ぷぅちゃんは何も変わってない。
萩原雪歩
変われなかったから、外見を変えたんだ。
ジュリア
うるせえな。アンタに何が分かる。
萩原雪歩
ねぇ、私は待ってるよ。
ジュリア
あたしは、変わらなければならないんだ。
萩原雪歩
いつまでも待ってる。
ジュリア
そうでなきゃ、あたしの明日は二度と――
萩原雪歩
また一緒に、お菓子作ろうね。
ジュリア
――――――。
ジュリア
おう、お袋。今日も暑かったな。
ジュリア
ああそうだ、ユキからおすそ分け。
ジュリア
なんだよ、忘れちまったのか? ほら、昔よく遊びにきた……。
ジュリア
見ろよこれ、よく出来てるだろ。
ジュリア
信じられるか、あのユキだぜ?
ジュリア
二人で台所に忍びこんでは、悪臭でバレてつまみ出されたっけ。
ジュリア
一体いつの間に、こんな洒落たもん作れるようになったんだか。
ジュリア
つーかお袋、また朝メシ残したな?
ジュリア
せっかくおにぎり買ってきてやったのに。たまには食えよ。
ジュリア
まあ、あたしだって悪いとは思ってるよ。
ジュリア
本当は自分で作ってやりたいけどさ。ほら、あたし不器用だから。
ジュリア
米ぐらい炊けたらよかったんだけどな。
ジュリア
一度くらい温かいメシ、食わせてやりたかったな。
ジュリア
ま、そういう訳で一緒に食おうぜ。冷や飯は駄目でもこれならいいだろ。
ジュリア
お袋、甘いもの好きだもんな。ああ、そうだった。
ジュリア
…………なあ。
ジュリア
あたし、いい子じゃなかったよな。
ジュリア
お袋に養ってもらった恩も忘れて、遊んでばかりで。
ジュリア
すまなかった。あたしはとんでもない親不孝ものだ。
ジュリア
こんなあたしを育ててくれて感謝してる。尊敬もしてる。
ジュリア
だからお袋に負けないくらい立派になってやろうって、そのために生きてきて……。
ジュリア
でも、変われなかったよ。
ジュリア
お袋の影にしがみついた手を、離せなかった。
ジュリア
なぁ、お袋、返事してくれよ。
ジュリア
たった一言でいいんだ。それだけで……。
ジュリア
お願いします。
ジュリア
なに一つ返せなかったあたしを、どうか許してください。
ジュリア
この通り、お願いします……。
(台詞数: 50)