菊地真
で、空気に耐えきれなくなった千早と伊織は出かけてったんだね。
萩原雪歩
うん……この雨の中ね。
菊地真
ボクと入れ違いだった二人だけどさ、すれ違った時この世の終わりみたいな顔だったよ。
萩原雪歩
あの二人が……
菊地真
雪歩、ボクがわざわざ言うことでも無いと思うけどさ……
萩原雪歩
うん、自分でもやりすぎたと思う……やっぱり私、ウソつきですぅ。
菊地真
で、本当の事、教えてくれない?
萩原雪歩
今日のお仕事で、ちょっと嫌なことがあってね。それで、二人に八つ当たりしちゃったんだ。
菊地真
なるほど。
萩原雪歩
いつもなら二人とも励ましてくれるんだけど……って、私もそんな嫌らしい頼り方しちゃって……
菊地真
……
萩原雪歩
でも、今日の二人、様子がおかしかったんだ。多分、二人の方が色々溜まってたんだよ。
萩原雪歩
だから、今度は私が励まさなきゃって思って……でも二人のモヤモヤの原因が分からなくて……
萩原雪歩
私なりに聞き出そうと思ったんだけど……
菊地真
なるほど。
萩原雪歩
でも結局、二人に意地悪しちゃっただけでした。
菊地真
雪歩、今日はなんか弱ってるね。ウソつきっていうか、雪歩が落ち込んでたのは本当なんでしょ?
菊地真
それってさ、全部自分のせいにしてるだけなんじゃないの?
萩原雪歩
それっていけないことなの?
菊地真
え、そりゃ……いや、殊勝ではあるのかな?って、いやいや、よくないよくない。
菊地真
こんな時はさ、責任を押しつけちゃうんだよ!全部雨のせいだよ!
萩原雪歩
うん……雨、嫌いだよ。雨が降らなかったら、千早ちゃん達も今日私に会わなかったもん。
菊地真
その意気だよ、時にはそう考えることも大事!
萩原雪歩
でもね、そんな風に考えちゃう自分が、一番嫌い。
菊地真
実に頑固だね。雪歩らしいけどさ。
萩原雪歩
そんな真ちゃんも……嫌いかもしれない。
菊地真
雪歩……
菊地真
そんな事言っても、ボクは逃げないよ。
萩原雪歩
!!……なんで?なんで一人にしてくれないの?あの二人でも察してくれたのに!
萩原雪歩
どっかいってよ!今、誰の顔も見たく無いの!
菊地真
ごめん、ボク傘持って来て無いからさ。今出たら濡れちゃうし。
菊地真
というか実はプロデューサーから雪歩監視命令が出てるんだよね。
菊地真
だからさ、全部言ってよ。どうせ二人なんだし。
萩原雪歩
……私、本当に自分の事嫌いだよ?
菊地真
うん、そんな時もあるよ。
萩原雪歩
美味しくないお茶しか淹れられない千早ちゃん達も嫌い。
菊地真
へへ、可愛いよね、二人とも。
萩原雪歩
知ったような事ばっか言うプロデューサーも嫌い。
菊地真
なんでもお見通しって感じだもんね、いっつも。
萩原雪歩
離れてくれない真ちゃんも、嫌い。
菊地真
なんで傘持って出ないんだろうね、ボク。
萩原雪歩
でも、やっぱり皆好きだよぅ……
菊地真
雪歩、ずっと好きでいられる人なんて居ないんだよ。気持ちは日々移ろうんだ!
菊地真
そう!まるで天気のようにね!……どう?上手いこと言えたよね!機転きかせたよね!
萩原雪歩
……台詞は酷いけど……真ちゃんも、誰かを嫌いになること、あるの?
菊地真
もっちろん!父さんの事とか今でも週に6日は嫌いだしね!まあ雪歩の事は嫌いになった事無いけど
萩原雪歩
それは……なんかずるいよぅ 。というかなんか残念だよぅ。
菊地真
あ、そんな雪歩にさらに残念なお知らせ。
萩原雪歩
え……?
菊地真
雨、止んだよ。
(台詞数: 50)