高槻やよい
続きです!(前回の「やよいと学ぶ『空白の一日』」をご覧いただくことをお勧めします)
高山紗代子
西武との交渉期限である11月20日、江川投手はアメリカから急遽帰国して……
高槻やよい
あれですよ、ドラフトの会見を開く準備をしに帰ってきたんですよね?
高山紗代子
翌日、巨人は江川投手と契約を結んでしまったの!
高槻やよい
何で巨人が!?交渉権を持っていない筈ですよ!?
高山紗代子
当時の野球協約に大きな抜け穴があったのよ……
高山紗代子
ドラフトで交渉権を得た球団がその選手と交渉できるのは、次のドラフトの前々日までなの
高槻やよい
何で前日までじゃないんですか?
高山紗代子
交渉地が遠隔地だったら、天候などの影響でドラフトに間に合わなくなる可能性があるから
高山紗代子
ドラフトの準備期間(閉鎖日)として一日空けてるのよ
高山紗代子
また、当時のドラフト対象学生は「日本の中学・高校・大学に在学している者」とされているわ
高山紗代子
つまり、江川投手は今、西武との交渉権が無くなっている状態で
高山紗代子
「日本の中学・高校・大学に在学している者」でもない(卒業している)ため
高山紗代子
ドラフト対象外選手だから、自由に交渉することができる、と巨人は解釈したみたいなの
高山紗代子
ちなみに、この案を江川投手に提案したのは、江川投手の代理人を務めていた
高山紗代子
自民党衆議院議員の船田中氏と秘書の蓮見進氏よ
高槻やよい
こんな考え、通るんですか!?
高山紗代子
通るわけないでしょ!これがまかり通ったら、ドラフト自体意味のないものになるわ!
高山紗代子
セ・リーグの鈴木龍二会長は当然、巨人との契約は無効とする裁定を下したわ
高槻やよい
当然ですよ!
高山紗代子
でも、この裁定に巨人は猛反発!ドラフト会議をボイコットすることになるわ!
高槻やよい
じゃあ、この年は巨人の新入団選手がいないんですか?
高山紗代子
いいえ、ちゃんとドラフト外から選手を入れているわ(鹿取義隆投手などが入団しました)
高槻やよい
ドラフトはどうなったんですか?
高山紗代子
この年から、1位指名が重複したら、抽選で交渉権を決める方式に変わって
高山紗代子
南海、近鉄、ロッテ、阪神の4球団が1位指名して、阪神に交渉権が渡ったわ
高山紗代子
これに巨人は猛反論!「12球団揃っていないドラフトは無効だ!」とコミッショナーに提訴したの
高槻やよい
自分からボイコットしておいて、何を言い出すんでしょう……
高山紗代子
さらに巨人の正力亨オーナーは「江川の入団を認めなければ、リーグを脱退する」と言い出したわ
高山紗代子
そのせいで、来年の日程表が作成できない事態に陥ってしまったの……
高槻やよい
ワガママすぎます～!!
高山紗代子
金子鋭コミッショナーは「ドラフト会議欠席は巨人が勝手にやったこと」として
高山紗代子
「巨人との契約は無効」「阪神に江川投手との交渉権を認める」と決定したわ
高槻やよい
それなら、この事件はこれで解決ですね!
高槻やよい
でも、江川投手は阪神じゃなくて巨人でプレーしてますよね?
高山紗代子
そう、これで終わってはいなかったのよ……
高山紗代子
次回に続きます!
高槻やよい
今回はやたらと長いですね……
(台詞数: 38)