所恵美
…状況は依然変わりなく、呼吸をするだけのアタシの体と、泣き止まない二人の親友。
所恵美
え、何?アタシの願いが足りなかったって事?そんなことってあるの…?
所恵美
今のは何かの間違いだ、と自分に言い聞かせるようにもう一度、アタシは願いを込めた。
所恵美
ぎゅっと目を閉じて、皆の顔を思い浮かべる。
所恵美
――皆に心配かけさせるわけにはかない。皆に笑ってほしい。琴葉、エレナ、笑顔に戻って!!
所恵美
――――――――――。
所恵美
……。
所恵美
何で!?魂が戻る様子全然ないじゃん!!本当に戻るのこれ!?
所恵美
…まさか、死神とやらは自分の道楽のために嘘を吐いた…とか?
菊地真
「ボクも嘘を吐いたつもりはないんだけど…」
所恵美
死神の表情は、当人すらも困っているようだった。…なにこれ、八方ふさがりってやつ?
菊地真
「…ねえ、キミはいったい何を願ったの?戻るために、どんな願いを込めたの?」
所恵美
ふと、何かに引っかかることがあったみたいで、死神がアタシに問いかける。
所恵美
アタシが願った事って…そりゃ、皆の事だけど。
所恵美
すると、死神は何か合点がいった様子で。
高山紗代子
「ああ、それじゃ無理だよ」
所恵美
……。
所恵美
……。
所恵美
……。
所恵美
はああああああああああああああああ!?
所恵美
ちょっと待って、なにが、どう、どうなって、どうして、なんで、なぜ、え、え、え、……え?
所恵美
死神はアタシの混乱なんてどこ吹く風、といった様子で言葉を続ける。
高山紗代子
「キミは、自分のことよりも周りの人の方が大切な人間なんだね。」
所恵美
そりゃそうでしょ。ダチがいない生活なんて信じられないもん。
高山紗代子
「自分の肉体と魂を繋げようとしてるんだから、他人のためを願ったらダメなんだよ」
所恵美
…えっとつまり、皆のために生き返りたいって願いだとダメって事?
菊地真
「大正解!ちなみに、キミには無理そうだけどより俗世的な願いだと戻りやすかったりするよ」
所恵美
ぞ、俗世って…。
菊地真
「まだ死にたくない、とかあの人と恋人になるまで死ねない、とか」
高山紗代子
「食欲色欲性欲その他いかなる欲望だって大丈夫。自分への願いさえあればね」
所恵美
…自分が自分のために願う願い、か。
所恵美
こう言うと情けないんだけど、自分のための願いなんて浮かばないや。
高山紗代子
「…その様子だと、自分のための願いが浮かばないみたいだね」
所恵美
まるでアタシの心を読んだみたいに、死神はアタシに言う。
高山紗代子
「だったら、いろいろ見て回ってみるのはどうかな?」
菊地真
「キミが大切に思っている場所に。そうしたら、願いが浮かぶかもしれないよ?」
所恵美
紗代子と真、二人の仲間の姿で死神が言う。
所恵美
…そうだね。家、学校、劇場。アタシの大切な人がいる所に行ってみよう。
所恵美
死神の言う通り、もしかしたらそこにアタシの願いが落ちているかもしれないから。
所恵美
琴葉とエレナの事は心配だけど、声もかけれないし触れないアタシにできることはないし…。
所恵美
そうと決まれば、明日は病室から出かけてみよう。早く、二人に元気になってもらいたいしね。
菊地真
「…そういえば、あんまり時間かけすぎると精神が消失ちゃうから気を付けてね?」
所恵美
…不穏な言葉残すなぁこの死神は!流石死神だねっ!!
高山紗代子
「具体的には今日含んで3日位…かな?」
所恵美
何ぃ!?明後日には何とかしないとダメなの!?
(台詞数: 45)