アストラル・恵美! 2話
BGM
WHY?
脚本家
sikimi
投稿日時
2017-06-03 19:52:10

脚本家コメント
見切り発車で始めた話ですが、起承転結の承の半分くらい来てます。
1話↓
http://imas.greeーapps.net/app/index.php/short_story/info/uid/16023/seq/992

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所恵美
アタシ、どうやったら体に戻れるんだろ。こういうのって体に入ったら戻れるものじゃないの?
所恵美
ベッドに横たわり、呼吸だけを繰り返すアタシの体に触れてみたり、一寸もズレずに重なってみたり
所恵美
アタシの思いつく限りのことをやってみたんだけど、一向に戻る気配はなかった。
所恵美
まさに打つ手なし、といった状態で途方に暮れていると、劇場でよく聞く声が聞こえた。
菊地真
「へぇ…驚いた。何か変わった気配を感じたと思ったら面白いことが起きてたよ」
所恵美
…真?その姿はどうしたのさ。まるで死神みたいじゃん。てか、いったい何言ってるのさ。
菊地真
「マコト…?ああ、なるほどね。貴女にはボクの姿がその子に見えてるって事か。」
所恵美
…ごめん。アタシには真が本当に何言ってるのか分からない。
菊地真
「分かりやすく自己紹介しておくと、ボクは他愛のない死神だよ。以後よろしくね」
所恵美
…死神?え!?何!?真は実は死神で、アタシを迎えに来たとか!?アタシもう駄目なの!?
菊地真
「そんな矢継ぎ早に言われても困るんだけどな…。とりあえず、少しずつ質問には答えるよ」
菊地真
「まず、ボクはマコトって子じゃない。君にそう見えてるだけだよ。君の心が少し揺らげば…」
高山紗代子
「こうやって、姿が変わって見えるかもしれないよ。」
所恵美
!?真がしゃべってたかと思ったら突然紗代子になった…!?
高山紗代子
「マコトでもサヨコでもどちらでもいいけど、どちらでもないってことは分かったよね?」
所恵美
目の前で起こったことが真実なら、そうなんだと思わざるを得ないよね、これ。
高山紗代子
「理解が早くてよかった。それじゃ次の質問に答えるね?」
高山紗代子
「簡潔に伝えると、別に君をあの世に連れ去ろうとしてるわけじゃないの。」
高山紗代子
「…そもそも、私は三途の川を渡す船頭だから管轄外だよ?」
菊地真
「ちょっと仕事をサボ…休憩がてら下に降りてきたら面白そうな気配を感じてね」
菊地真
「面白そうとはいえ、ボクの仕事が増えるのはボクとしても困るんだ」
所恵美
面白そうとか仕事が増えるとか、他人事だからって無茶苦茶言う死神(仮)だね…。
菊地真
「そこで、最後の質問に答えるよ、キミはもう駄目なんかじゃない。まだまだ間に合うよ」
所恵美
間に合う…!?今、間に合うって言ったの!?ねえ!!
高山紗代子
「ちょ、ちょっと落ち着いて!」
所恵美
落ち着いていられないよ!だって、いくらやっても体に戻れなくて、目の前に死神が現れて…。
所恵美
アタシのほほを涙が伝い落ちる。アタシ、本当にダメなのかと思ったよ…。
高山紗代子
「今の君の状態を説明した方が早いのかな。魂が肉体から抜け出してるのは分かるよね?」
所恵美
死神の問いかけに、アタシは頷く。戻るすべが分かった瞬間、こんなに気持ちが変わるなんてね。
高山紗代子
「肉体と魂をつなぐ、精神って言うのがあるんだけど、それが今ぷっつりと切れっちゃってるの」
所恵美
…それ、切れても大丈夫な物なの?
菊地真
「肉体と魂をつないでるんだから、もちろん切れていいものじゃないよ」
所恵美
じゃあダメじゃん!何!?死神って人を上げて落とすのが好きな生き物なの!?そもそも生き物!?
菊地真
「神様だけど生きてるよ…って、そんなことはどうでもいいね。」
菊地真
「精神が切れてはいるけど、消滅していないのが今のキミの状態。」
高山紗代子
「切れてしまった精神をもう一度繋いじゃえば、キミの魂は体に戻ることができるんだよ」
所恵美
それ、どうやって繋ぐのさ!!前のめりになりながら聞くと、死神はこう答えた。
高山紗代子
「願うの」
所恵美
…は?願うって、何を?精神繋がれーって感じで?
菊地真
「肉体に戻りたいって願うんだよ。ただ願うんじゃなくて、絶対的な意思が必要だけどね」
所恵美
この死神は抽象的なことを…。アタシにでも分かるように説明してくれる?
菊地真
「自分がなぜ、何のために戻りたいのか…その願いが精神を再び繋ぐんだよ」
所恵美
なるほどね…。アタシの体の方をちらりと見やる。
所恵美
そこには依然泣き続けている琴葉とエレナの姿があった。
所恵美
両親や兄も同じぐらい心配しているし、アイドル仲間もそうだろう。アタシはぎゅっと目を瞑る。
所恵美
皆に心配かけさせたくない。琴葉たちにこれ以上泣いてほしくない!!
所恵美
死神が言ったようにひたすら願い続けた!!
高山紗代子
「…ふむ」
所恵美
紗代子…死神の声が聞こえて、ゆっくりと目を開く。アタシの視界に映ったのは…。
所恵美
目を閉じる前と全く変わらない、アタシの体と泣き止まない二人の姿だった。

(台詞数: 50)