菊地真
ーーーモルドヴァ基地、研究室
菊地真
洋治:ザルヴァートルモデルの調整はできているか?
北沢志保
研究員:はい。いつでもノートゥングモデルのコアを移植できますよ。
菊地真
洋治:ところで、彼女は何処かね?
北沢志保
研究員:風花なら、格納庫の方に行きましたよ?
菊地真
洋治:やはりコアの存在に気づいたか………。
菊地真
ーーー格納庫
菊地真
………これは我々ではない。
豊川風花
我々でないものが、我々の前にいる。
菊地真
私達はここで分岐する。我々は私を行動させる。
豊川風花
そして我々は、私をも行動させる。
菊地真
洋治:………そのコアは、昔に人類を絶望に追いやり、滅ぼされたミールの欠片だ。
菊地真
洋治:今は、唯一無二の希望だがな。
豊川風花
我々は私を、お前の考えに同調させる。
菊地真
洋治:それでは相手を理解したことにはならん。
菊地真
洋治:私が何故、ミツヒロにも黙って君達をここにいさせているか、分かるかね?
菊地真
洋治:お前達フェストゥムが人類を理解したいという、この一大事を………。
豊川風花
片方は知る、もう片方は知らない。可能性の分岐こそが人間の個性だ。
菊地真
洋治:その逆もまた然り、だ。
菊地真
洋治:我々が君達に影響を及ぼし、新たな可能性を生むかもしれない。
豊川風花
………。
菊地真
洋治:君に会って欲しい人がいる。
菊地真
洋治:新たな分岐が始まるぞ。
北沢志保
ーーー独房
北沢志保
はぁ………。
北沢志保
基地に着くなり身体検査、その後はこうしてずっと独房に閉じ込められている
北沢志保
何のために私は島を出たの……?
菊地真
洋治:久しぶりだね。志保君。
菊地真
洋治:5年前まで島にいた日野だ。覚えているかな?
北沢志保
洋治:日野のおじさん!?
菊地真
ーーー
菊地真
洋治:そうか……ついに765島にもフェストゥムが………。
北沢志保
それで、島を出てから道生さんに捕まりました。
菊地真
洋治:あいつはシナジティックコードの影響で、搭乗時に乱暴な性格になる。
菊地真
洋治:許してやってくれ。
北沢志保
いえ、別に………。
菊地真
洋治:それで君は、これからどうするのかね?
北沢志保
え?
菊地真
洋治:人類軍の兵士として戦うか、新国連のスタッフとして働くか………。
北沢志保
それだけ……何ですか?
菊地真
洋治:この30年で我々人類の選択肢はひどく減ってしまった。
菊地真
洋治:敵と戦うか、戦う者を助けるか、諦めて敵に襲われるか………。
北沢志保
島では、そんなことはありませんでした。
菊地真
洋治:あそこは我々人類が忘れかけた物を必死に集めた、いわば記憶の保管庫だ。
菊地真
洋治:平和という文化を保存するための、ね………。
北沢志保
おじさんは、何故島を出たんですか?
菊地真
洋治:より良い兵器を作るのが、研究者の仕事だからね。
菊地真
洋治:ああ、そうだ。志保君、よかったら私と一緒に来ないかね?
北沢志保
え!?
(台詞数: 49)