福田のり子
こんばんは!百合子、どうしてもアタシ達に頼みたいことが有るんだって?
七尾百合子
お待ちしてました、のり子さん、真さん!夜遅くにすみません。
菊地真
百合子の頼みなら聞くけどさあ……女の子ばっかりで夜集まるのって、怖くない?
七尾百合子
ええと、多分お二人と一緒なら、通常恐れられる事態は切り抜けられるかと。
菊地真
……なんか含みがあるなあ。か弱い女の子だけじゃ危ないから、プロデューサーも居たほうが……
福田のり子
まあいいじゃん。寒いからさ、出直すのもイヤでしょ。チャッチャとやっちゃおうよ。
菊地真
それもそうだね。それで、百合子のお願いごとって何なの?
七尾百合子
そうですね……お願いと言いますか、願望と言いますか。
七尾百合子
……私達はアイドルですから、普通のことばかりしていてはいけないと思いませんか!?
菊地真
……ボクは可愛くなりたい一心なんだけどなあ。
福田のり子
ノリ悪いよ、真。たぶん百合子の話は、いまから面白くなるよ。
七尾百合子
私達は、常識や思い込みをブレイクスルーして、新たな価値観を生み出す義務が有るんです。
福田のり子
ほらほら、百合子の調子が出て来たよ。
七尾百合子
誰もが当然のように過ごしている年中行事も、常識を疑うべきなんです。
七尾百合子
例えば、船の進水式。船にシャンパンをぶつけるのは「当たり前」ですが……
七尾百合子
これをもし、吊るし上げた船を置いてあるシャンパンにぶつけて、その勢いのまま海に出れば、
七尾百合子
ものすごくスペクタクルで、居合わせた人をワクワクさせられると思いませんか?
福田のり子
うーん……
菊地真
百合子。なんか最近、妙な本を読んだの?
七尾百合子
妙な本じゃないです。ショート・ショート界の巨星、星新一先生の本です。
七尾百合子
と言うわけで、お願いしたいのはですね。
七尾百合子
お二人でお寺の鐘を持ち上げてもらって、私が掴んでいる撞木のほうにぶつけてほしいんです!
七尾百合子
私ひとりでは、鐘が重すぎて……私の『願望』が叶いそうにないです。
菊地真
『願望』って言うより、まさしく煩悩じゃないの?変わったことしたいっていう。
福田のり子
それなら、アタシ達のパッション込めて、鐘を叩きつけてあげるよ!覚悟決めなよ!
七尾百合子
……
七尾百合子
…………
七尾百合子
………………ひゃああぁぁぁ!
七尾百合子
(気合の入ったのり子さんと、なんか吹っ切れた真さんによって……)
七尾百合子
(鐘は90度近く持ち上がり、か弱い私の支えた撞木に激突し……)
七尾百合子
(撞木『を』鐘『で』撞いた直後、吹っ飛ばされた私は尻餅をついたのでした。)
(台詞数: 31)