永吉昴
――――――――――――カキィイン!
菊地真
――――――――――――!?(ぼ、ボクのスプリットが―――――)
二階堂千鶴
だっ―――――打球は――――――――ッ!
永吉昴
――――――――――――(ガコンッ)
永吉昴
――――――――――――(ガコンッ)……ちっ、ファールか。
菊地真
(あ、危なかったー!今のスプリット、練習不足のせいか全然落ちなかったよ。これじゃあ
菊地真
ただの少し低い棒球じゃないか! うう、やっぱり付け焼刃の球を昴に投げるのはダメか)
永吉昴
(2ー0に追い込まれてからの三球目だが……今のゆるい球はなんだ?チェンジアップか?)
永吉昴
(にゃろう、真に変化球があるとか全く考えてなかったぜ。そうなってくると、まいったな)
菊地真
(でもこれは逆に今がチャンスなのかもしれない。昴の中にさっきの少しゆるい球のイメージ
菊地真
があるうちに……ボクの渾身の速球で、凡打に詰まらせてやるよ!)
永吉昴
(どうする? タイミングを外す球があるなら、ちょっと様子見ながら合わせる、か? いや)
菊地真
ザッ。(足を上げた音)――――――――――ふっ!(ビュオッ)
永吉昴
――――――ッ!(しまった! 考えてたら間に合わ――――――)
永吉昴
――――――ッ!(バシィーーン!)
永吉昴
――――――ッ!(バシィーーン!)「ボール、ですわ!」>(`Δ´)
永吉昴
……ふぅ～っ。
菊地真
(休ませるか!)なんのまだまだ……(ザッ)――――――はあっ!(ビシュッ)
永吉昴
――――――――(ズバン!)「これもボール、ですわっ!」>(`Δ´)
永吉昴
へへっ、さっき「最初の威勢はどうしたんだい?」とか言ってたな、真。
永吉昴
そのクサい台詞、そっくりそのまま返すぜ。
菊地真
うぐぐ……(し、しまった～っ。ボクの方が気負いすぎで、制球がおかしくなっちゃったよ)
永吉昴
(とかなんとか言いつつオレ、たまたま運よく首の皮一枚つながってるだけなんだよなぁ)
永吉昴
(でも今の二球でわかった。真、変化球だと腕振った音が速球と違う、気がする)
永吉昴
(もうあれこれ気にすんのはやめだ……さあ、どんな球でもかかってきやがれっ!)
菊地真
(もういい……細かいことを気にするのはボクらしくないや。素直な想いのたけを)
菊地真
全部――――でぇりゃあああぁっ!!
菊地真
ビュオッ――――――――
永吉昴
ビュオッ――――――――――――カキィン!(ファール!)
菊地真
ビュオッ――――――――
永吉昴
ビュオッ――――――――――――カキィン!(ファール!)
菊地真
ビュオッ――――――――――――カキィン!(ファール!)
永吉昴
ビュオッ――――――――――――カキィン!(ファール!)
菊地真
ビュオッ――――――――――――カキィン!(ファール!)
永吉昴
はぁ、はぁ……来いよ、最高の球、投げて来やがれ! 真っ!!
菊地真
ふう、ふぅ……あぁ、いくよ、打って見ろ! 昴ぅッ!! りゃあああっ!!(ビュオッ)
永吉昴
(高目っ!)――――――――――――――らああああっ!(ブンッ)
二階堂千鶴
(ガッシャア――――――ァン!)
二階堂千鶴
……さ、最後の最後に……と、捕れませんでした、わ……
菊地真
はぁ、はぁ……へへっ、まいったな。ここまできて、バックネット裏まで大暴投、か
永吉昴
いや……オレも、思わず振っちまった。三振。オレの負けだよ。
菊地真
い、いや! ルール上は振り逃げでボクの負け――――って、フフッ、なんかさ。
永吉昴
ああ、わかるぜ。もう、勝ち負けなんて、どうでもいいよな。
二階堂千鶴
ふふっ、お互いの妬み・そねみは、スッキリしまして?
菊地真
うん。ありがとう千鶴さん。思いっきり気持ちを出したら、モヤモヤはどっか飛んでったよ。
永吉昴
そうだな。……なあ、オレもさ。真みたいに皆に好かれるアイドルになれるかな?
菊地真
何言ってんだ。昴ならボクぐらい簡単さ。それよりボクも……昴みたく可愛くなれるかな。
永吉昴
なっ、なななな、何言ってるのはおめーだっ!オレは別に可愛くねーし、真はもう――
二階堂千鶴
おーっほっほ。何はともあれ、お二人に爽やかさが戻ったのなら、よかったですわ!
二階堂千鶴
(さて、さっきからずーっと震え続けている、私の携帯と左手の痺れ……どうしようかしら)
(台詞数: 50)