二階堂千鶴
(あらすじ)なるほど。互いのファンの評価とか扱われ方が妬ましくて、ついケンカ腰になり、
二階堂千鶴
「こうなりゃ野球勝負で決めよう!」ってことで、わたくしが連れ出されたんですのね?
永吉昴
うん。まあそう。いや、実はオレも何で野球なのかわかんねーんだけど、真が……
菊地真
……ふんっ。
永吉昴
あのとおり、やけにぷりぷり怒って、急に「勝負だ!」って言うんだもんな。
永吉昴
(ていうか何なんだよ。そりゃあ、オレだってついカッとなっちまったかもしれないけどさ)
永吉昴
あんなイケメン面してるくせに、言動はすげー女々しいっつーかなんつーか……あぁ、もう!
二階堂千鶴
ちょっ、怖っ、昴!? やめて打席内でそんなにブォンブォン、バット振り回さないでくださる!?
菊地真
昴!
永吉昴
あぁ゛っ?
菊地真
(握ったボールを前に突き出して)今日の僕はもう、心底あったまきたから、
菊地真
お前の一番得意な分野でボコボコに叩きのめしてやることに決めたんだ! 覚悟しろ!!
永吉昴
けっ、そういうことか。何が「僕は決めた」だ、ふざけんじゃねーぞ真……
永吉昴
オレはてめーのそういう人をナチュラルにナメてる態度が、一番ムカつくんだよ!
二階堂千鶴
ひぃいっ、お、お二人の間にメラメラと燃える怒りのオーラが……
二階堂千鶴
まるでタイムセール時のおばちゃん達なみに殺気立ったオーラが見えますわ……恐ろしや!
菊地真
じゃあルール確認だ。勝負は一打席。三振、内野フライ、ボテボテのゴロなら僕の勝ち。
菊地真
ライナー性のゴロ、内野を越えたフライ、フォアボールなら昴の勝ちだ。バントは無効。いいね?
永吉昴
ごたくはもういい(ザッ、ザッ) さあ、来いよ! ボンクラすけこましピッチャー!
菊地真
何だとこの……媚び売りガサツ野球バカ女ァッ!(ビュオッ)
二階堂千鶴
(ブンッ)(ズバーン!)い、痛ぁ~っ……す、ストラーイク!? で、ですわ!
永吉昴
くそっ、媚び売りガサツ女だって? あんにゃろう、オレのことそんな風に……
永吉昴
(一球目は外角高めストレートか。つか滅茶苦茶、球走ってやがる。反射で思わず手が出る程に)
菊地真
フッ、ぜーんぜんタイミング合ってないじゃないか。オレオレ詐欺の子猫ちゃんっ!(ビュオッ)
永吉昴
――――
永吉昴
――――うるせぇっ!(ブオンッ)
永吉昴
――――うるせぇっ!(ブオンッ)(バシーン!)
二階堂千鶴
~~~っっ、慣れてないと真さんのボールは、い、痛いですわ~っ。ス、ストライーク。
菊地真
へへっ、最初の威勢はどうしたんだい? 昴。もう2ストライクだよ。
永吉昴
くっ、わかってるよ!(今度は内角いっぱいひざ元……やべーな、追い込まれた……だが)
菊地真
わかってないだろ昴は。人のことをエラソーに言うくせに、自分の事は何にもわかっちゃいない。
菊地真
(僕がどれだけ可愛い格好を装った服装や言動をしても、誰も見向きもしない。求めてくれてない)
菊地真
(それなのに「可愛くなりたい」と願って、「可愛い」って言われる君がどれだけ、どれだけ……)
菊地真
そのガサツな振る舞いがどれだけ人を傷つけてるか……もう少し考えるがいいさ!
菊地真
三球三振にしてやるよ……てりゃあーーーーっ!!(ビュウッ!)
永吉昴
――――
永吉昴
――――――――
永吉昴
――――――――――――(ブンッ)チッ(ガシャーン!)
菊地真
なっ!?
永吉昴
はっ、そんなわかりやすいストレート……もう、覚えたぜ。
菊地真
ギリッ(歯ぎしり) ふんっ、負け惜しみだろっ。
永吉昴
(あっぶねー! バックネットファールかよ、モーションは掴んだと思ったのに。ふぅーっ)
菊地真
(たった三球でもう合わせてくるか、さすが昴だ。粘られたら絶対にマズい気がする)
菊地真
(正直、まっすぐにしか自信ないけれど……アレを投げてみるか? とっておきの、アレを)
永吉昴
(よし。タイミングさえ合えば、あとはコースだ。見極めが全てだ、内か外か低いか、高いか――)
二階堂千鶴
(あら、あれだけいがみ合ってた二人が真剣に黙ってしまいましたわ。ふふっ)
菊地真
…………いけっ!(ビシュッ!)
永吉昴
―――――――――
菊地真
(僕の……真ん中低めから下に落ちる、スプリットフォークボールよ!)
永吉昴
―――――――――ッ!――――――――――――(ブオンッ)
(台詞数: 50)