四条貴音
ときに、雨は好きですか?
水瀬伊織
嫌いよ。
四条貴音
そうですか。
水瀬伊織
……。
四条貴音
……。
水瀬伊織
訊かないの?
四条貴音
はい?
水瀬伊織
理由。
四条貴音
言いたいのですか?
水瀬伊織
別に。
四条貴音
……。
水瀬伊織
……。
水瀬伊織
ねえ、このお祭りなんだけど。
四条貴音
はい。
水瀬伊織
何で、わざわざ雨の日を選んでやるわけ?
四条貴音
日頃の豊穣豊作に感謝するものですので。
水瀬伊織
ふぅん。
四条貴音
退屈ですか?
水瀬伊織
……別に。
水瀬伊織
……。
水瀬伊織
さっきね、嘘を付いたわ。
四条貴音
嘘?
水瀬伊織
雨、嫌いじゃないかも。
四条貴音
ほう?
水瀬伊織
正確に言えば、さっきまで嫌いだった。
四条貴音
そうですか。
水瀬伊織
……訊かないの?
四条貴音
何をです?
水瀬伊織
……もういいわ。
四条貴音
……。
水瀬伊織
……。
四条貴音
ならば、私と同じですね。
水瀬伊織
何がよ。
四条貴音
私も……雨が好きなのです。
四条貴音
特に、このように月が見える狐雨は。
水瀬伊織
そ。
四条貴音
……。
水瀬伊織
……。
四条貴音
あの……。
水瀬伊織
訊かないわよ。
四条貴音
……。
水瀬伊織
……。
水瀬伊織
狐の神様も待ってるのかしらね。
水瀬伊織
私たちみたいに、他愛ないお話しながら。
四条貴音
だとしたら、楽しいお狐様ですね。
水瀬伊織
どうせなら晴れの日を選べばいいのに。
四条貴音
雨に濡れる花も、時には良いものですよ。
四条貴音
ほら──。
水瀬伊織
……。
水瀬伊織
ま、そうなのかもね。
(台詞数: 50)