てんどん~その頂へ~
BGM
TOWN_RMX
脚本家
なかやま
投稿日時
2016-05-15 00:01:58

脚本家コメント
「いただきます」
ご飯を山に例えて
その頂上から食べるので
「いただきます」
って言うそうです。
っていう嘘。

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水瀬伊織
「こ、これが天丼……」
水瀬伊織
いや、これは黄金色をした山。ゴールドマウンテン。
水瀬伊織
天に向って、今なお伸び続けようとする躍動感すら感じる
水瀬伊織
なんてボリューム
水瀬伊織
その頂へ粉山椒を振る可憐
水瀬伊織
振り方が何故かキまっている
水瀬伊織
その姿を横目に、私は箸を手に取る
水瀬伊織
崩さないように恐る恐る、頂上からよりやや下、8合目あたりに
水瀬伊織
見た目とは裏腹に、すっと箸が入る。衣も固過ぎず柔らか過ぎず、よく馴染んでいる。
水瀬伊織
そして、ひとくち
水瀬伊織
「…………!!」
水瀬伊織
タレにこんなにも馴染んでいるいるのに、まだサクッという音がするほど香ばしい衣
水瀬伊織
瞬間エビのプリッとした食感が加わり、口の中でひと跳ね
水瀬伊織
そして、これまた程よくタレを吸ったご飯と合わさり
水瀬伊織
口の中で旨味のビックバンが起こる
水瀬伊織
「こ、これ、ホントに天丼なの……!?」
水瀬伊織
私の辞書の「天丼」の頁を書き換える必要がありそうだ
水瀬伊織
ようやく、可憐の粉山椒を降る手が止まる
水瀬伊織
ポーズはそのまま、ただだ黄金山の頂を見つめる
水瀬伊織
無理もない
水瀬伊織
彼女はゴールドマウンテン二杯目なのだ
篠宮可憐
「こんなにも美味しい天丼ならまた食べたいわ。……ちょっと量は多かったけど……。」
水瀬伊織
これが彼女の10分前の発言である
水瀬伊織
「あら、そんなに美味しい天丼なら、アタシもいただこうかしら?」
水瀬伊織
これが私の10分前の発言である
水瀬伊織
二人とも迂闊であった
水瀬伊織
「じゃあ、さっきより量を減らして……」と前置きのもと、出されたのがこの山である
水瀬伊織
私にも「少なめだけどごめんね。」と言って出された一品であった
水瀬伊織
可憐達が食べた1杯目と、今目の前にある山の量の違いは
水瀬伊織
スカイツリーと東京タワーくらいの違いだそうだ
水瀬伊織
この喩えは、もう1人この天丼を食している人物、高木社長から聞いたものだ
水瀬伊織
彼の前には、空の丼が2杯あり、今もなお黙々とゴールドマウンテンを口に運んでいる
水瀬伊織
……あれ?社長ってこんなにも黒かったかしら?逆光?
水瀬伊織
……もうひとくち
水瀬伊織
ビックバン
水瀬伊織
これを食べきる頃には、口の中に銀河系団が無数に出来上がっていることだろう
水瀬伊織
そして厨房からは「わっほ!わっほ!わっほっほ!」とリズムよく聞こえてくる。
水瀬伊織
今なおゴールドマウンテンは天を目指し、その頂を目指すものを待ち構えているのか
水瀬伊織
可憐は再び粉山椒を振り始めた。
水瀬伊織
可憐は再び粉山椒を振り始めた。さながら雪景色。振り過ぎである。
水瀬伊織
……ところで、社長ってこんなにも黒かったかしら?ブラックホール?
水瀬伊織
またひとくちビックバン
水瀬伊織
箸は止まらない
水瀬伊織
どうやら胃の管理者と、手口の管理者はバッドミュニケーションのようだ
水瀬伊織
満たされる
水瀬伊織
満たされる、しかし箸は止まらない
水瀬伊織
粉山椒の雪はしんしんと降り積もる
水瀬伊織
やっぱり社長は黒い
水瀬伊織
そして再び山の神は言う
水瀬伊織
「はい!デザートのトンカツパフェ!お待ちどうさま!わっほーい!」

(台詞数: 50)