水瀬伊織
いやいや、休日までそんなことしなくていいでしょ。
双海亜美
あ、いおりんもしかしてそれはツッコミ?負けたの?
双海亜美
このゲームに負けた場合はアイス幕府チャレンジだかんね。
黒井社長
……
水瀬伊織
……
双海亜美
(チッ、釣れなかったか)
黒井社長
さて、着いたぞ。早く降りろ。
双海亜美
いやー楽だね!黒ちゃんタクシー早いし!
黒井社長
後輩を足がわりに使わんでもらいたいね。
水瀬伊織
あれ、それってツッコミじゃないの?
黒井社長
これがツッコミなら罪人と警察の関係は漫才コンビだな。
双海亜美
まあまあ。免許持ってるの黒ちゃんだけなんだし、切手代テキトーっていうし。
黒井社長
それを言うなら適材適s……車停めてくるからまっていたまえ。
双海亜美
今日はふたりとも手強いね。
水瀬伊織
……亜美。
双海亜美
ん、何?
水瀬伊織
合格したんでしょ?おめでと。
双海亜美
え?知ってたの?後で発表して二人をびっくりさせようと思ってたのに!
水瀬伊織
にひひ♪この伊織ちゃんに隠し事なんて出来るわけないじゃない。
水瀬伊織
……ってことは、来年からもあんたと毎日会う事になるのね。
双海亜美
あ、それ黒ちゃんの前で言っちゃだめだよ。寂しがるから。
水瀬伊織
分かってるけど、黙ってたら一緒に居られるわけじゃないでしょ。
水瀬伊織
でもま、崇男のやつああみえて寂しがりやだから?気使ってあげないとね。
黒井社長
私がなんだって?
水瀬伊織
寂しがりやだから気を使わないと、って言ってたの。
双海亜美
あ、正直に言うんだ。で、いつも通り着いたわけだけど何して遊……
双海亜美
ねえ二人とも、見て。
黒井社長
ん?なんだこれは……ああ、なるほど。
水瀬伊織
この公園がなくなるって、どういう事よ!
黒井社長
もともとここは整理されていない土地を公園として開放していただけだ。
黒井社長
それが、どこぞに買われ有意義に使われる様になるだけだろう。
黒井社長
この街も人が増えてきた。これからもこう言う事は増えていくだろう。
水瀬伊織
そんな事分かってるけど、これじゃ私たちの思い出が……どんどん無くなってくみたいで。
双海亜美
……ここで遊ぶのだって、悪い事じゃ無いはずなのにね。
黒井社長
……こんなのはただの場所だ。人の役に立ってこその価値だろう。それに……
黒井社長
思い出は場所にあるのでは無く、胸の中に有る物だと思うがね。
双海亜美
黒ちゃん……
黒井社長
だから、私の先輩なら……そんな情けない顔をするな。最上級生が聞いて呆れるわ!
水瀬伊織
な、情けない顔なんてしてないわよ!ただ目にゴミを入れてみただけよ!
双海亜美
意図的に!?
水瀬伊織
あ、ツッコんだ。罰としてあそこのサグラダファミリアまで競争よ!
双海亜美
うわーん!ゴールが見えないっぽいよー!
黒井社長
こら二人とも!待たんか!
黒井社長
思い出は場所では無い。確かにこの時はそう言ったが、あれはただの慰めだ。
黒井社長
この公園には私たち三人の、この街皆の思い出が詰まっている、そう簡単に失くせない。
黒井社長
私にだって出来ることがあるはずだし、このままではあの二人に貰った物を何も返せない。
黒井社長
そうだ。どうにかして、ここをもっと価値のある場所だと示せば、人が集まると示せばいい!
黒井社長
……その翌年、その場所には何も建つことは無かった。そう、私にだって思い出を守れた。
黒井社長
そこには、振り返れば二人が手を振っているような、以前と変わらない、豊かで笑顔が溢れるような
黒井社長
駐車場が広がっていた。
(台詞数: 50)